どうも、コント作家のりきぞうです。
ここでは、コントのプロットについて説明していきます。
前回、コントは「設定 → 展開 → オチ」のながれをとると説明しました。
映画やドラマとちがい、コントのプロットはシンプルです。
尺が短いため、何本もフクセンをはることはできないし、ストーリーの運び方にも、限界があります。
展開のしかたにも限りがあり、「型」ががあります。
パターンは3つ。
・逆転
・交錯
です。
この3パターンは、フランスの哲学者「ベルクソン」の考えをベースにしています。
かれは『笑い』で、人間の〝おかしみ〟について考察しました。
どのようなしくみがはたらき、ひとは笑うのか ─ 笑いのメカニズムについて分析しました。
そのパターンを3つにわけ、「反復」、「逆転」、「交錯」としました。
ある状況のもと、これら3つの作用がはたらくと、ひとは笑ってしまうと指摘したわけです。
このしくみは、コントにも応用できます。
以下、[設定 → 展開 → オチ]のうち、展開の3パターンについてくわしくみていきます。
目次
展開パターン① ─ 反復
反復は「くり返す」という意味です。
コントにおける反復とは、状況や環境が変わっても、それまでと同じアクション、セリフ、出来事をくりかえすようすを指します。
ベルクソンもいうように、状況が変わったにもかかわらず、同じ場面や出来事を見聞きしたりすると、笑ってしまいます。
環境が変わっても、アクションやセリフがそのままだったら、ついつい笑ってしまうんですね。
たとえば、結婚式でウェディングドレスを着ている花嫁さん ─ 。
披露宴の席で彼女をみてもべつにおかしくはありません。
相手によっては、笑うどころか涙を流すかもしれません。
しかし同じ花嫁さんが、次の日にウェディングドレスを着たまま、町を歩いていたらどうでしょう。
笑ってしまいますよね。
なぜおもしろいと感じるのか。
それは、状況と環境が変わっているのに、それまでと同じ行動をしているからです。
つまり、わたしたちは、状況や環境が変わっても、それまでと同じアクション、セリフ、出来事をくりかえすようすをみたときに、どうしても笑ってしまうわけです。
この特徴をコントの「展開」に応用させるとこうなります。
まず人物の性格やバックボーンを設定します。
つぎに、状況や環境を変えます。
さいごに、なにかひとつ、それまでの行動・会話・出来事を反復させます。
これで笑いを引き起こせるようになります。
1つのシーンを設定し、そのあとで状況や環境を変化させ、なにかひとつ変化しない要素を入れる。この手順でプロットを組み立てていけば、笑いを起こせるようになります。登場人物が同じような振る舞いをしたり、同じが出来事が繰り返すことで笑いがおきます。
図にするとこんなかんじです。
X = 状況の変化
A’
さきほどの花嫁さんを図にしてみるとこんなかんじになります。
時間:結婚式の日 → 次の日
場所:披露宴会場 → 町の通り
ウェディングドレスを着る花嫁
はじめにAという人物・状況・環境を設定し、つぎにXという変化をもたらし、そのつぎに、A’という変化しない要素を挿しこみます。
A → X → A’という流れをとるのが、コントにおける反復の手法です。
展開パターン② ─ 逆転
逆転は「ひっくり返る」という意味です。
コントにおける逆転とは、ひとつの出来事がキッカケで状況がひっくり返り、地位や役割が反転するようすをさします。
コントや喜劇にかぎらず、ふだんの生活でもよく目にするため、そんなりと理解できるはず。
たとえば、部下の裏切りにより、じぶんが練った作戦で敗れる戦略家などが思いつきます。
この特徴をコントの「展開」に応用させるとこうなります。
まず、優位な立場にいる人物を設定します。
つぎに、その人物にかかわる状況や環境を変えていきます。
さいごに、その変化によって人物の立場や地位をひっくり返します。
ある出来事によって状況を反転させ、立場を逆転させる手法ということになります。
つまり「逆転」では、ひとつの出来事をキッカケに、それまでの立場や地位がひっくり返るシーンを描いて、ストーリーを展開させていくことになります。
状況や人物が反転するようすをみせて、観てる人を笑わせます。笑いを引き起こします。
図にするとこんなかんじです。
X = 状況の変化
A<B
例として思いついた「戦略家」ではこうなります。
構図 ― 逆転
戦略家>敵 X = 裏切った部下が敵に情報を流す 戦略家<敵
くりかえすと、はじめに優位になる人物を設定し(A>B)、つぎに、その人物にかかわる状況や環境をひっくり返し(X)、さいごに、人物の立場や地位を反転させます(A<B)。
A > B → X → A < B という流れをとるのが、コントにおける逆転の手法です。
展開パターン③ ─ 交錯
交錯は「いりまじる」という意味です。
3つのなかでは、イチバン説明しにくいメカニズムです。
コントにおける交錯とは、1つの言葉や1人の人物が、2つの意味をもつために、まわりから誤解されるようすをさします。
ほんとうは1つの意味しかないのに、もうひとつの意味で受け取られる状況を目にするとき、わたしたちは笑います。
しくみの説明はややこしいですが、古典的な喜劇でも現代のドラマでも頻繁につかわれます。
たとえば、シェイクスピア『まちがい喜劇』では、自分宛のラブレターだと思い込み、相手のとの結婚生活を空想するシーンがあります。
これが交錯です。
たとえば『釣りバカ日誌』では、みすぼらしいおじいさんがじつは社長で、それを知らずに平社員がタメ口をきいたりする。
最近だと、お笑いコンビ「アンジャッシュ」が得意とする「すれ違いコント」なんかも、交錯による笑いです。
この特徴をコントの「展開」に応用させるとこうなります。
まず、相反する2つの状況にひとりの人物を置き、それによりまわりから誤解されるようにします。
つぎに、ある出来事をキッカケに、その人物が2つの状況に引き裂かれるようにします。
そして、2つの状況を表面化させ、その人物の矛盾したようすをみせていきます。
つまり「交錯」では、隠した感情や事実がバレないように、ひとりの人物が、コトバやアクションを取りつくろうようすを描き、ストーリーを展開させていきます。
または、セリフやアクションによって真相をかくし、登場人物をカン違いさせ、ストーリーをすすめていきます。
観る人は、その取りつくろうようすや、まわりの人物がカン違いするようすをみて、笑います。
交錯ではこうして笑いを引き起こします。
図にするとこんなかんじです。
X = 矛盾が表面化する出来事
A≠B or (A=B)
たとえば、親戚のフリをして病室にまぎれ込む葬儀屋 ─ 。
自分の会社で葬式をひらいてもらうために、いちはやく死人の情報をえようとします。
この図にあてはめてみるとこんなかんじ。
X=
・老人が死にそうだと確認
・病室を抜け出し、同僚にもうすぐ死ぬと報告
・ほんとうに親戚にみつかり、親族じゃないとバレる
葬儀屋≠親族
さいしょに親戚のフリをして老人が死にそうな病室にしのびこみ、老人が死にそうだと確認(葬儀屋=親族)。
つづけて、報告しているトコを親族にみつかる(X)。
さいごにバレる(葬儀屋≠親族)、というながれです。
このように、 A = B( or A ≠ B )→ X → A ≠ B ( or A = B )という流れをとるのが、コントにおける交錯の手法です。
わかりやすくまとめると、つぎのような手順をとれば、交錯の笑いをつくり出せます。
↓
2. 相反する状況にまたがる人物が、まわりよりも優位な立場にさせる
↓
3. まわりの人物ごとに自らの性格を変えるように行動させる
↓
4. 相反する2つの状況を表面化させる
↓
5. 取りつくろうようす、まわりがカン違いするようすを描く
まとめ
笑いの多様性を考える人は、こういう形式化は好きじゃないかもしれません。
しかしドラマや映画のシナリオにもフレームがあるように、コントにも「型」があります。
すべてのコントがこの「型」どおりにあてはまるわけではありません。
けれどこれを意識すると、ひとつ引いた視点からコントを見れますし、つくる人もスムーズに書くことができます。
ぜひ参考にしてみてください。
ではまた。
よきコントライフを〜。

