マンキュー経済学 ─ 経済学の10大原則(ルール)

どうも、りきぞうです。

大学院では、キャリア論と社会保障を研究していました。

社会人なってからは、[予備校講師 → ウェブディレクター → ライター]と、いろんな職業にたずさわってきました。

働き方についても、[契約社員 → 正社員 → フリーランス]と、ひと通り経験してきました。

働くなかで思うのは、自分の市場価値を高めるには、ある程度の「教養」は必要、ということ。

「優秀だなぁ」と感じる人は、最低限の知識は、アタマに入れています。

なかでも「経済学の知識」は、マストといえます。

とはいえ、

・経済学はムズかしくて、とっつきにくい
・覚えることが多すぎて、混乱する
・いろんな本が出てるけど、どれから手に取ればいいのか、わからない

─ こんな悩み・疑問をいだくと思います。

きょうは、この問いに答えてきます。

個人的には、経済学の知識・理論については、

りきぞう

マンキューが提唱した「経済学の10大ルール」を知っておけば、とりあえずオーケー

と思っています。

マンキューは、アメリカの経済学者です。

かれの教科書は、1992年にベストセラーになりました。

その後、20ヶ国で翻訳されます。

いまでは、経済学の教科書の〝大定番〟になっています。

じっさいの本は、こちら。

「経済学の10大ルール」は、その導入部で述べられ、〝経済学の全体像〟をあらわています。

かれがまとめた、ひとつひとつのルールを知ることで、「市場のしくみ」をざっくり理解できます。

個人の働き方・組織運営など「経済」に関する、さまざまなことにも役立つます。

マンキューが提唱した経済学のルールは、つぎの10コです。

  1. ① トレードオフ
  2. ② 機会費用
  3. ③ 限界原理
  4. ④ インセンティブ
  5. ⑤ 交易による相互利益
  6. ⑥ 市場の調整機能
  7. ⑦ 政府による市場の改善
  8. ⑧ 生産性に依存する生活水準
  9. ⑨ 紙幣の増刷による物価上昇
  10. ⑩ インフレと失業はトレードオフの関係

大まかにみると、つぎの3つに分類できます。

①〜④ → 意思決定プロセス
⑤〜⑦ → 市場における影響関係
⑧〜⑩ → 経済と社会の動き

以下、①から順に、ひとつひとつみていきます。

① トレードオフ

マンキューは、

「人々は、トレードオフに直面している」

と、表現しました。

トレードオフとは、あるものを選べば、ほかのものを失う、という意味です。

市場をふくめ、あらゆるシーンで、各個人はトレードオフに直面しています。

たとえば、「1万円」があって「1万円のクツ」を買うとします。

クツはゲットできましたが、同時に、「1万円のバック」をゲットできなくなりました。

つまり、クツとバッグがトレードオフのカンケーにあり、「1万円」をもっている人、〝二者択一の問題〟に直面しているのです。

これは「お金」だけなく「時間」や「権限」でも同じです。

なにかしらの「資源」「機会」をもっているかぎり、「あれかこれか」のジレンマに直面します。

② 機会費用

マンキューは、

「あるものの費用は、それを得るために放棄したものの価値である」

と、表現しました。

機会費用とは、あるものを得るために捨てた費用のことです。

たとえば、進学と就職のチャンスがあり、大学に進んだとします。

このとき、知識と研究を得る機会を得ることができました。

そのいっぽうで、就職で得られた(はずの)お金とスキルを放棄しました。

ここでいう「お金」と「スキル」が機会費用です。

つまり、なにかをゲットするには、なにかを犠牲にして、コストを支払っているわけです。

③ 限界原理

マンキューは、

「合理的な人々は限界原理に基づいて考える」

と、表現しました。

市場においては、各個人は「合理的」に行動します。

合理的に行動するとは、メリット/デメリットを考慮して選択する、ということです。

なにかを選ぶ場面では、できるだけメリットが多いほうを選択します。

できるだけ多いメリットを「限界的な便益」、できるだけ少ないデメリットを「限界的な費用」と呼びます。

市場では、ふたつのバランスをはかって行動します。

④ インセンティブ

マンキューは、

「人々は様々なインセンティブに反応する」

と、表現しました。

インセンティブとは「誘引」のこと。「トリガー」や「キッカケ」といってもいいです。

ひとは、なにかしらのインセンティブによって行動します。

たとえば、あるお店が、「在庫一斉セール」で、100円のモノの50円に値下げしたとします。

「トク」と思ったお客さんは買うことにしました。

このとき「購買行動」をとらせた「在庫整理」が、インセンティブということになります。

とくに市場では、さまざまなインセンティブが働いて、人びとはアクションをとっています。

ここまでが「意思決定プロセス」についてです。

つぎに「市場における影響関係」のはなしに移ります。

⑤ 交易による相互利益

マンキューは、

「交易(取引)は全ての人をより豊かにする」

と、表現しました。

モノとモノ、サービスとサービスとの交換は、参加者に利益をもたらします。

交易・取引をする人たちが増えるほど、商品の質が多様化し、コストも下がるためです。

たとえば、「バックがほしい」と思い「1万円」をもっていたとします。しかし、だれもバックを売らなければ、意味がありません。

豊かになりません。

いっぽうで、バックを売る人がたくさんいれば、商品の数も増えます。

競争がはたらき、商品の質を高めようとします。

結果、全体の質もアップし、豊かになります。

⑥ 市場の調整機能

マンキューは、

「通常、市場は経済活動を組織する良策である」

と表現しました。

市場では、参加者が〝自己利益のために〟行動しても、しぜんと秩序が保たれます。

経済学の父であるアダム・スミスは、このしくみを「見えざる手」と表現しました。

それぞれの個人が「③ 限界原理」をふまえて行動すれば、おのずと市場は機能します。

ポイントは「価格」です。

個人も企業も、モノを取引する場合は、価格をみて判断します。

価格は、利益(メリット)と費用(デメリット)を反映したものです。

そのため、市場の参加者が〝自分勝手に〟行動したとしても、「価格」が秩序をたもつように調整するのです。

⑦ 政府による市場の改善

マンキューは、

「政府が市場のもたらす成果を改善できることもある」

と、表現しました。

⑤ 交易による相互利益
⑥ 市場の調整機能

─ この2つのルールだけをみれば、マーケットは、問題ないようにみえます。

とはいえ、うまくいかないときがあります。

そのとき機能を戻す、改善するのが、政府の役割です。

具体的には、

・権利の保護
・効率性の促進
・公平性の担保

の3つです。

法にもとづいたチカラによって、不当な取引を罰し、独占を禁止し、利益を分配します。

⑧ 生産性に依存する生活水準

マンキューは、

「一国の生活水準は、財・サービスの生産能力に依存している 」

と表現しました。

生産性とは、1人の労働者が、1時間で生みだす財&サービスの量のことです。

ある地域や国家の生活レベルは、その場所の生産性によって決まる、ということです。

生産性が高ければ、その場所は豊かで、生産性が低ければ、その場所は貧しくなります。

⑨ 紙幣の増刷による物価上昇

マンキューは、

「政府が紙幣を印刷しすぎると、物価が上昇する」

と、表現しました。

モノとマネーは、〝シーソー〟のカンケーです。

いっぽうが上がれば、もういっぽうが下がり、いっぽうが下がれば、もういっぽうが上がります。

なので、紙幣が増刷され、マネーの量が増えれば、そのぶんモノの価値が上がる、というわけです。

つまり「インフレ」です。

「1万円」の価値は、日本国が「どれくらい紙幣を刷っているか」で決まります。

ジャンジャン増刷すれば、そのぶん、「1万円」の価値は下がります。

結果、シーソーのカンケーにあるモノの価値が上がるのです。

⑩ インフレと失業は、短期的なトレードオフの関係

マンキューは、

「社会は、インフレと失業の短期的トレードオフに直面している」

と、表現しました。

わかりやすくいえば、インフレがおきれば、失業率が下がる、ということです。

ここでの「短期的に」とは、「インフレのあと、1、2年後くらい」のスパンを想定しています。

プロセスは、つぎのとおりです。

マネーの増加

支出アップ=需要の増加

雇用の拡大=失業率の低下

生産量アップ

生産者による価格の引き上げ

インフレ

景気循環のプロセスはさまざまです。

そのなかでも、インフレと失業率のカンケーが、もっとも大切です。

生産者/消費者、すべての参加者に関わるからです。

まとめ

以上、マンキューが提唱した「経済学の10大ルール」をみてきました。

それぞれの項目について、より詳しく知りたい人は、リンク先にとぶか、マンキューのテキストにあたってみてください。

経済学の基礎を身につけるには、とりあえず「10大ルール」を知っておけばオーケーです。

さまざまな経済学関連の本がありますが、キホン、ここにあげたルールをもとにして書かれています。

そのほか、

・ミクロ/マクロの区別
・市場経済・資本主義の歴史

など、ストックしておいたほうがいい知識があります。

とはいえ、まずは、マンキューのテキストに沿って「市場のしくみ」について、ざっくり把握しておきましょう。

そうすれば、経済について、抵抗なく知識を吸収することができます。

自分の働き方&会社運営にも、役に立ちます。

ではまた〜。