チェーホフ『結婚披露宴』感想&レビューです。

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、チェーホフ『結婚披露宴』。

中期の作品です。

以下、ストーリーの大枠をみたあと、笑いのポイントをあげていきます。

ちなみに、松下訳で読みました。

以下、引用のページ番号は、うえの文献によります。

また、浦さんの訳も出ています。

こちらの傑作選に収録されています。

よければチェックしてみてください。

ストーリーの大まかな流れ

人物

アブローンボフ
ダーシェニカ……アブローンボフの花嫁
ナターシャ……ダーシェニカの母
ジガーロフ……ダーシェニカの父
ドゥインバ……ギリシャ人の商人
レヴノーフ……退役した元中佐
ニューイン……レヴノーフの仲介人

場所

食堂の広間

あらすじ

アブローンボフとダーシェニカの結婚パーティー。

しかし花ムコは、嫁さんの母親に不満をのべる。

持参金としてもらうはずの債権がない。

海軍の元将軍がくるはずなのに来ていない。

うんざりする義理の母ナターシャ。

そのとき仲介人のニューインが元将軍レヴノーフがつれてくる。

丁重にもてなす新郎新婦&親族たち。

しかしレヴノーフは元中佐。

じつはニューインが階級をごまかし、老人を「元将軍」にでっちあげていた。

さらに、ナスターチアから受けとっていた「閣下の出演料」をネコババも。

ウラを知らず、「閣下」の肩書きにのぼせるレヴノーフ。

海軍時代の任務を得意げに話す。

その独壇場に、参加者たちは不機嫌になり、ケチをつけはじめる。

するとおもわず、レヴノーフは自らの階級をバラしてしまい……。

ひとこと

結婚披露宴でのひと幕。

サブタイトルに「ひと幕の情景」とあるが、ほぼコントです。

ストーリーの軸は、仲介人のニューインが、レヴノーフを「元将軍」「閣下」に仕立て、正体がバレないように右往左往するというもの。

そのほかにも、カタコトでしゃべるギリシャ人と、花嫁の父ジガーロフの会話にも、クスッとさせられる。

同じようなやり取りをくりかえし、反復による笑いをおこす。

こんなかんじ。

ジガーロフ (……)虎はギリシャにいますかな。 ドゥインバ いる。

ジガーロフ じゃあ、ライオンは?

ドゥインバ ライオンもいる。ロシアにはなんにもいない、ギリシャにみんないる。(……)

ジガーロフ ふむ……。で、まっこうクジラはギリシャにいますかな。

ドゥインバ みんないる。

(p.228)

さらに、すこしほかの人たちのセリフをはさんで、またこんなやりとりをはじめる。

ジガーロフ で、赤茸(あかたけ)はギリシャにありますかな。

ドゥインバ ある。あっちにみんなある。

ジガーロフ そんなら、白茸(しろたけ)は、きっと、ないだろうな。

ドゥインバ 白茸もある。みんなある。

(p.234)

フツーの会話をくりかえすことで笑いをつくりだす。

本編と関係ないところで、こうゆうセリフをさらっといれるあたり、さすがチェーホフです。

センスが光ります。

笑いのポイント

笑いのポイントをみていきます。

コントや喜劇で大事なのは、キャラクターとプロット。

この作品ではプロットに注目してみます。

コントのプロットはとてもシンプル。

[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。

コントの書き方 ─ プロットの構成について

なかでも「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」があります。

パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つです。

コントの書き方 ─ プロットの展開について

ストーリーを単純化してみると、この作品は「交錯」の構図をとっているとわかる。

「交錯」では、1人の人物が、真相を隠したり、ワナをしかける。それにより、カン違いする人物が、スジ違いのセリフを吐いたり、行動に出たりする。

そのようすが笑いを引き起こす。

この作品でも、仲介人のニューインがレヴノーフを「閣下」に仕立てあげて、こっそりその出演料をネコババする。

そのたくらみがバレないよう右往左往する。

ごまかすようす&アタフタするようすが、笑いを引き起こす。

図にするとこんな感じ。

構図 ─ 交錯
レヴノーフ = 閣下

・元将軍らしくない話をくりかえす
・ニューイン、カンパイでごまかす

レヴノーフ ≠ 閣下

「レヴノーフ ≠ 閣下」とわかり、さいごにニューインのたくらみが発覚するながれ。

コンパクトな作品ながら、構図はしっかりしています。

まとめ

こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。

ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。