どうも、コント作家のりきぞうです。
きょうも、コント作品をレビューしていきます。
取りあげるのは、チェーホフ『タチヤーナ ・レピーナ』。
中期の作品です。
死後に見つかったシナリオで、作家仲間スヴォーリンによる喜劇をアレンジしたものです。
彼だけに渡されて、おふざけ半分で書いたような作品かもしれません。
ちなみに、松下訳で読みました。
以下、引用のページ番号は、うえの文献によります。
目次
ストーリーの大まかな流れ
人物
オレーニナ
サビーニン……オレーニナの結婚相手
コテーリニコフ……サビーニンの親友
神父
タチヤーナ
婚礼の参加者たち
場所
聖堂(教会)
あらすじ
ヴェーラとサビーニンの婚礼。
たくさん人が参加し、教会はぎゅうぎゅう詰め。
部屋の温度もあがり、息苦しい。
立ちっぱなしの新郎サビーニンも疲れているようす。
形式どおりの文言をのべるだけの神父。
そのため参加者たちは、退屈しのぎにうわさ話をはじめる。
話題は、医者の妻タチヤーナの自殺。
そのはなしがサビーニンにも聞こえてくる。
ドギマギする新郎。
そのとき突然、暑さからか、ひとりの女が倒れる。
関係者に教会から出させるが、サビーニンはいま運ばれていった女は、タチヤーナだったと言い出す。
タチヤーナと不倫し、罪の意識から自殺された彼は、彼女の幻覚をみたようで……。
ひとこと
おごそかな雰囲気のなか、ゲセワなできごとが繰り広げられる。
神父のコトバなど聞かず、ひたすら教会の暑くるしさ、退屈さをグチる参加者。
さらに新郎サビーニンは、不倫関係にあった愛人を自殺させたばかり。
うわさ話がきこえるたびに、ビクビクする。
さらに倒れた女性を見て、死んだはずのタチヤーナだと思いこむ。
サビーニン (……)ああどうしよう……。タチヤーナ ・ペトローヴナがここにいる……。彼女がここにいる……。
コテーリニコフ おい、気はたしかか!
サビーニン 黒服を着た奥さん……あれは彼女だぜ。気がついたんだよ……見たんだよ……。
(p.222)
ハレとケ(神聖/卑俗)を対比させた作品です。
くりかえしタチヤーナの自殺を聞き、倒れそうになる新郎。
さらに思いこんだサビーニンは、結婚式を抜けだし、墓参りに行ってくると言いだす。
この反復が、笑いを生みだすします。
おふざけ半分で書いた雰囲気のわりには、笑いのツボをおさえています。
ほどよくブラックなかんじも出ていて、深みもありますね。
笑いのポイント
笑いのポイントをみていきます。
コントや喜劇で大事なのは、キャラクターとプロット。
この作品ではプロットに注目してみます。
コントのプロットはとてもシンプル。
[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。
なかでも「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」があります。
パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つです。
ストーリーを単純化してみると、この作品は「反復」の構図をとっているとわかる。
「反復」では、状況や環境が変わっても、それまでと同じアクション、セリフ、出来事をくりかえすようすを描きます。
それによって笑いを引き起こします。
この作品でも、罪の意識から、愛人の幻覚にとらわれたサビーニンが焦りだす。
親族や仲間からの説得も耳にはいらず、倒れた女を自殺させた愛人タチヤーナと思いこむ。
このくりかえしが笑いをもたらします。
図にするとこんな感じ。
・自殺したタチヤーナの話題がきこえる
・式に参加する女性が倒れる
・タチヤーナと思いこむ
サビーニン = タチヤーナにとらわれる
また、ラストふきんで「なぁなぁ」で、こづかい稼ぎのために、聖書を引用して、婚礼のことばを口にしていた神父 ─ 。
かれのまえに、ちょっとしたできごとがおこります。
このあたりも皮肉がきいて、ちょっとツボでした。
よければ、本編でチェックしてみてください。
まとめ
こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。
ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。
ちがう記事ものぞいてみてください。
ではまた。
よきコントライフを〜。


