バルザック ─ おすすめの作品 まとめ

どうも、りきぞうです。

大学のころから、文学に親しんできました。

大学院時代〜社会人時代にかけても、ひんぱんに作品にあたってきました。

古典作品については、300本以上、読んでいます。

なかでも、バルザック作品には、楽しませてもらいました。

同じように、読んでみようかなぁと思う人もいるかと。

とはいえ、

・そもそも全部で何作品あるの?
・たくさんありすぎて、どれからみたらいいいのか分からない
・おすすめの著作は、どれ?

─ こんな悩み&疑問をいだく人も多いはず。

そこで、この記事では、おすすめのバルザック作品をあげていきたいと思います。

結論を先にいうと、つぎのとおり。

りきぞう

バルザックの著書は、ぜんぶで「約100作品」以上
おすすめは『ゴリオ爺さん』『幻滅』『従妹ベット』『従兄ポンス』の4本
短編なら『グランド・ブルテーシュ奇譚』が Good

いまのところ、バルザック作品は、全部で「約100作品」以上あるといわれています。

主著は、つぎのとおり。

・『あら皮』(1831年)
・『グランド・ブルテーシュ奇譚』(1832年)
・『ウージェニー・グランデ』(1833年)
・『絶対の探求』(1834年)
・『ゴリオ爺さん』(1835年)
・『谷間の百合』(1835年)
・『幻滅』(1843年)
・『従妹ベット』(1846年)
・『従兄ポンス』(1847年)
・『娼婦たちの栄光と悲惨』(1847年)

そのなかでも、おすすめは、『ゴリオ爺さん』『幻滅』『従妹ベット』『従兄ポンス』の4本です・

『ゴリオ爺さん』『幻滅』は、連作です。

『ゴリオ〜』のほうが有名ですが、『幻滅』のほうが、圧倒的にストーリーがおもしろいです。

『従妹ベット』『従兄ポンス』は、2本でワンセットの作品です。

それぞれべつの人物を描いていますが、対比してみると、より楽しめる内容になっています。

以下、それぞれの作品にたいして、概要&感想をのべていきます。

バルザック作品を読むうえでの参考にしてみてください。

『ゴリオ爺さん』

出版年 1835年
構成 第1章 ヴォケール館
第2章 社交界デビュー
第3章 トロンプ=ラ=モール/死神の手を免れた男
第4章 爺さんの死

あらすじ

下宿アパート「ヴォルケール館」にくらす住人たちのおはなしです。

主人公は、大学生「ラスチニャック」と、資産家「ゴリオ爺さん」のふたり。

ラスチニャックは、パリで成り上がりを目指す若者。

ゴリオは、商売で稼いだ金を、すべて2人のむすめにつぎ込んでいます。

けれど、社交界に生きる2人は、父親をむげにあつかいます。

それでも、自分の生活レベルを落としてまで、貴族のあいだで生きる娘たちに、お金を渡しつづけます。

そんなとき、ゴリオのむすめ「デルフィーヌ」と知りあうことになった、ラスチニャック。

出世の階段をあがるため、夫人と愛人関係をむすびます。

いっぽう、40過ぎの住人「ヴォートラン」から、たんまり持参金の入る、結婚ばなしをもちかけられます。

しかしそれは、どこか詐欺まがいで、犯罪のニオイが。

地位向上のため、ラスチニャックは、どちらを選択すべきか、悩みますが……。

ひとこと

見どころは、

・出世に悩む、ラスチニャックの葛藤

・過剰にむすめを保護する、ゴリオの狂気

の2つ。

とくラストふきんのゴリオの行動&言動は、狂いすぎていて、笑いさえこみあげるほどです。

いっぽう、ラスチニャックの良心をゆさぶる、悪役「ヴォートラン」も魅力です。

かれの〝サタン的要素〟が、うらのストーリーをひっぱっています。

長さもほどよく、読了後の満足度は、かなり高いです。

評価
長さ
(3.0)
難易度
(3.0)
面白さ
(4.0)
おすすめ度
(4.0)

『幻滅』

出版年 1843年
構成 第1部 二人の詩人
第2部 パリにおける田舎の偉人
第3部 発明家の苦悩

バルザック中期の作品です。

『人間喜劇』のひとつで、『ゴリオ爺さん』の続編となっています。

前作では、ラスニチャックが主人公でしたが、本作では、悪役「ヴォートラン」が中心となって物語がすすんでいきます。

あらすじ

田舎町に住む「リュシアン」「ダヴィッド」。

ふたりの友人は「詩人」をめざすが、ダヴィッドは、家業を継ぐよう強要され、夢をあきらめる。

いっぽう「リュシアン」は、地元の貴婦人と〝良い仲〟になり、うまく社交界デビューをはたす。

けれど〝サロンでのかけひき〟にやぶれ、落ちぶれたまま、パリへ上京 ─ 。

そこで、悪漢「ヴォートラン」と出会い、かれのサポートから、パリ社交界&出版界で、一役〝アイドル〟に。

しかし、ふたたび両世界でのかけひきにやぶれ、リュシアンは転落の道をころげおちていく。

また、地元で製本家業をついだ「ダヴィッド」も、父親がのこした負債から、窮地においやられて……。

ひとこと

サブタイトルにもあるとおり、本作のテーマは「メディア業界」について。

作家・編集者・経営者 ─ それぞれの思わくが交差する。

その過程で、ある者は栄光をつかみ、ある者は落ちぶれていく。

ショージキ、むかしのできごととは思えないほど、生々しい描写がつづきます。

いまのメディア業界にも十分つうじるはなし。

ここでいうリュシアンが「かけだしの作家&ライター」で、ダヴィッドがサイトのシステムをつくる「ITエンジニア」といったところ。

個人的には、バルザック作品のなかで、いちばん好きです。

なにより、はなしのインパクトがすごすぎる。。

ただし、文庫は絶版で、すこし高額な『選集』にあたるしかありません。

ぜひとも文庫化してほしいです。

評価
長さ
(4.0)
難易度
(3.0)
面白さ
(5.0)
おすすめ度
(5.0)

『従妹ベッド』

出版年 1846年
構成

バルザック中期の作品です。

あらすじ

未婚の中年女性「リズベット」。

かのじょはひそかに、ポーランドの亡命貴族「シタインボック」と交際してした。

そんななか、伯母のむすめ「オルタンス」に、カレシを略奪されてしまう。

復讐にもえる「ベット」は、オルタンスの父親「ユロ」に恨みいだく「ヴァレリー」
と協力して、ユロ一家を破滅の道に歩ませようとする……。

ひとこと

ベットを中心とした復讐劇です。

2時間ドラマでありがちな展開ですね。

けれど、たんたんとユロ一家を破滅させる過程が、なんとも不気味で、恐ろしいです。

バルザックというと、はげしい文体が特徴ですが、本作のトーンは、終始〝しずか〟で、落ち着いています。

内容/描写のズレが、魅力的です。

ただし残念なのは、こちらも、手ごろな翻訳がないトコ。

文庫は絶版で、『全集』にあたるしかありません。

評価
長さ
(1.0)
難易度
(1.0)
面白さ
(1.0)
おすすめ度
(1.0)

『従兄ポンス』

出版年 1847年
構成

バルザック中期〜後期の作品です。

『従妹ベット』の連作とされます。

あらすじ

名声を失った音楽家「ポンス」。

創作をあきらめたかれは、そのかわりに、

・美術品収集
・豪華な食事

に生きがいをみつけている。

あるとき、いつもどおり、親戚の美食パーティーに参加。

けれど、かれの美術品&資産をねらうため、かれの親戚が、陰謀をたくんでいる事実をしる。

ショックをうけたポンスは倒れてしまい、死後、親友「シュケム」に遺贈・管理をたのむ。

しかし、ポンスに冷遇された親戚たちは、しつこく遺産をつけねらい……。

ひとこと

こちらはバルザックらしい、お金にまつわるおはなし。

マネーに執着する人びとを、これでもかと、生々しく描いています。

『姉妹ベット』が「恋愛」による恨みなら、『従兄ポンス』は「金」による恨み。

このあたりの〝ドロドロした感情〟を描くのは、バルザックはほんとにうまいです。

ベットは、狡猾かつ不気味であるいっぽう、ポンスは、呑気でおっちょこちょい ─ このあたりの対比から読んでもおもしろいですね。

ただしこちらもまた翻訳に恵まれず、『全集』にあたるしかありません。

どちらも文庫で出てほしいです。

評価
長さ
(1.0)
難易度
(1.0)
面白さ
(1.0)
おすすめ度
(1.0)

『グランド・ブルテーシュ奇譚』

出版年 1832〜1836年
目次 グランド・ブルテーシュ奇譚
ことづて
ファチーノ・カーネ
マダム・フィルミアーニ
書籍業の現状について

バルザックといえば、『ゴリオ爺さん』『谷間の百合』など、長編が有名です。

いっぽうで数多くの短篇も残しています。

本書は、1832〜1836年までに発表された作品を、訳者「宮下さん」の好みで、組んだものです。

どれも読みごたえが作品です。

とくに、『グランド・ブルテーシュ奇譚』『ことづて』の2本が、おもしろいです。

どちらも、初期作品ながら、ひきつける文章で、構成もうまいです。

長編だと、はげしい表現で、あらしのように巻きこんでいきます。

けれど短編の場合だと、味のある文章で、じっくりひっぱっていくかんじです。

このあたりのちがいを味わうのも、バルザック作品の魅力です。

評価
長さ
(3.0)
難易度
(3.0)
面白さ
(4.0)
おすすめ度
(4.0)

まとめ

まとめると、

りきぞう

バルザックの著書は、ぜんぶで「約100作品」以上
おすすめは『ゴリオ爺さん』『幻滅』『従妹ベット』『従兄ポンス』の4本
短編なら『グランド・ブルテーシュ奇譚』が Good

ぜひ、バルザック作品を読むうえで、参考にしてみてください。

ではまた〜。