チェーホフ『創立記念祭』感想&レビューです。

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、チェーホフ『創立記念祭』。

中期の作品です。

以下、ストーリーの大枠をみたあと、笑いのポイントをあげていきます。

ちなみに、松下訳で読みました。

以下、引用のページ番号は、うえの文献によります。

また、浦さんの訳も出ています。

こちらの傑作選に収録されています。

よければチェックしてみてください。

ストーリーの大まかな流れ

人物

シプーリン……銀行の頭取、中年の男
ヒーリン……会計係、老人
タチヤーナ……シプーチンの妻
メルチュートキナ……銀行へ相談に来た老婆

場所

銀行の頭取室

あらすじ

創立記念のセレモニーをおこなっている会社。

あいさつを終えて、頭取のシプーリンが事務所にもどってくる。歓声をうけ、気分がいい。

一方、会計係ヒーリンは作業におわれている。不満げ。

おたがいに嫁のグチをこぼしているとき、ヒーリンの妻タチヤーナがやってくる。しごとのジャマだとも気づかず、オトコに口説かれたことを大声でしゃべりちらす。

同じタイミングで、見ず知らずの老婆が上がりこんでくる。役所をクビになった夫の退職金が正しく払われていない。

筋ちがいのクレームにうんざりするシプーチン。テキトーにあしらい、部下のヒーリンに対応を押しつける。

やっかいごとが増え、ますます混乱するヒーリン。15ルーブルを取り戻したいと何度も繰り返す老婆に「出て行け!」とブチギレる。

泣きさげぶ老婆。

創立記念祭を台無しにしたくはない頭取は、金を渡して帰ってもらう。

ホッとしたのもつかの間。

ふたたび妻タチヤーナのムダ話がはじまり、仕事をジャマする。

イライラがピークに達するヒーリン。

そのとき老婆がもどってくる。

「ウチの夫は、もう一度、県庁に勤められますか?」

ひとこと

むかし作品とは思えないほど、いまみても、十分おもしろい。

上司の妻タチヤーナのムダ話にヒーリンがブチギレそうになっているとき、追っぱらったはずの老婆がもどってくるシーン。

同じように、うんざりしたシプーチンが指示をだす。

シプーチン いや、我慢ならんよ! (泣く)我慢ならん! (ヒーリンのほうへ両手をのばして、絶望的に)この女を追っばらってくれ! 追っぱらってくれ、お願いだ!

ヒーリン (タチヤーナに近づいて)とっとと出て行け!

シプーチン そっちじゃない、こっちだ……このババアだ。(老婆をさして)こいつだ!

差しせまった状況でのかんちがい。

いまでもフツーに使われそうな展開ですよね。

笑いのポイント

笑いのポイントをみていきます。

コントや喜劇で大事なのは、キャラクターとプロット。

この作品ではプロットに注目してみます。

コントのプロットはとてもシンプル。

[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。

コントの書き方 ─ プロットの構成について

なかでも「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」があります。

パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つです。

コントの書き方 ─ プロットの展開について

ストーリーを単純化してみると、この作品は「反復」の構図をとっているとわかる。

「反復」では、状況や環境が変わっても、それまでと同じアクション、セリフ、出来事をくりかえすようすを描きます。

それによって笑いを引きおこします。

この作品でも、作業におわれるヒーリンが、上司の妻によるムダ話、見知らぬ老婆のクレームで、しごとのジャマを何度もさせられる。

このくりかえしが笑いを引きおこす。

図にすると、こんなかんじ。

構図 ─ 反復
上司 → ウンザリさせる → ヒーリン

・シプーチンの妻の世間話
・老婆の理不尽な訴え

上司 → ウンザリさせる → ヒーリン

ヒーリンの気苦労が、笑いの軸になっています。

まとめ

こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。