どうも、りきぞうです。
大学院では、キャリア論と社会保障を研究していました。
社会人なってからは、予備校講師 → ウェブディレクター → ライターと、いろんな職業にたずさわってきました。
働くなかで思うのは、自分の市場価値を高まるには「教養」が大切、ということ。
・仕事ができる
・いいアイデアを出す
こう思える人は、たいてい教養を身につけています。
わたしも、これまで古典&学術書を読みあさってきました。
なかでも、さいきんブームになっているのは「世界史」です。
ここ数年、ビジネスマンの必須知識として「世界史」が注目をあつめています。
ネット時代をむかえ、グローバル化が加速しているからです。
それなりのレベルで働くには、世界全体の流れを知っておく必要があります。
とくに、ヨーロッパの歴史はマストです。
グローバル化の流れは、ヨーロッパ地域での「大航海時代」にスタートしたからです。
ヨーロッパ文化の根っこには、古代ギリシャ&古代ローマの考えが流れています。
いっぽう、「フランス」「イギリス」「ドイツ」など、いまのヨーロッパ諸国のベースがつくられたのが、「中世」の時期です。
中世を理解すれば、広い視点で、ヨーロッパをとらえることができます。
そこで、きょうは、中世ヨーロッパを深く理解できる本・著書を紹介していきます。
おすすめは、つぎのとおり。
- ・鯖田豊之『ヨーロッパ中世』
- ・堀米庸三『世界の歴史 3 ─ 中世ヨーロッパ』
- ・佐藤賢一『フランス王朝史』シリーズ
- ・ル・ゴフ『子どもたちに語るヨーロッパ史』
- ・ホイジンガ『中世の秋』
どれも読みやすく、中世ヨーロッパの流れを深く知れます。
なかでも、『中世の秋』は、文体表現がすばらしく、良質なエッセイを読んでいるかんじになります。
以下、目次にそって、ひとつひとつ、みていきます。
目次
堀米庸三『世界の歴史 3 ─ 中世ヨーロッパ』
出版年 | 1974年 |
目次 |
1 死と誕生 2 孤立する西方世界 3 西方世界の独立 4 試練に立つ中世ヨーロッパ 5 十字軍前のヨーロッパ見取図 6 封建社会の生活環境 7 天上の国と地上の国 8 十字軍 9 中世法王権の光とかげ 10 支配者の群像 11 中世社会のパノラマに 12 陽はすでに傾く 13 あらたな原動力 14 北から南へ 15 中世後期の人と生活 16 苦難の時代 17 崩れゆく中世世界 |
中公文庫から出た「世界の歴史」シリーズの1冊です。
新版ではなく、旧版です。
ですが、以前のシリーズのほうが、カンケツで、おもしろいです。
「西ローマ帝国の滅亡〜ルネサンス直前」をあつかいます。
キホン、年代順に構成されています。
なかみは、皇帝 / 教皇の関係&対立がメインです。
いっぽう、6、11、15などでは、町のようすだったり、民衆の暮らしなどをみていきます。
文化史は少なめですが、政治・経済・文化 ─ バランスよく取りあげています。
くわしく中世史を知りたい方には、ピッタリの1冊です。
鯖田豊之『ヨーロッパ中世』
出版年 | 1989年 |
目次 |
1 ヨーロッパ人というもの 2 苦悩するゲルマン 3 後進地ヨーロッパ 4 ドライな封建制度 5 国王は選挙で 6 権威と権力の分離 7 キリスト教の定着 8 人工の生活を求めて 9 騎士道精神 10 十字軍の時代 11 王権の伸張 12 論争と耳学問の大学 13 苦難を越えて |
河出書房から出た「世界の歴史」シリーズの1冊です。
30年前の本ですが、内容は古びていません。
著者は、西洋中世史の専門家で、評論家でもありました。
そのため、できごとをタンタンとのべるだけでなく、工夫をこらした文体で、知的好奇心をさそうように、歴史をたどっていきます。
学術上、中世ヨーロッパ史は、1000年以上の期間があります。
把握するだけで一苦労ですが、まずは、本書を手に取り、ざっくり流れをつかむのがコツです。
くわしいレビュー

ル・ゴフ『子どもたちに語るヨーロッパ史』
出版年 | 2009年 |
目次 |
1 子どもたちに語るヨーロッパ 徒歩でヨーロッパからアジアへ ヨーロッパは存在するか ヨーロッパという家族 歴史が地理に生命を与える 最小の大陸(ほか) 2 子どもたちに語る中世 中世―期間について:“よき”中世と“悪しき”中世 騎士、貴婦人、聖母;城塞と大聖堂 中世の人びと 権力者たち ─ 王、教皇、皇帝(ほか) |
著者は、フランス人で、中世史の第一人者です。
タイトルどおり、本書は、若い世代にむけて、ヨーロッパが形成されるプロセスを語るものです。
一部で「ヨーロッパ文化の根幹」をのべたあと、二部で、「中世ヨーロッパ」の流れをみていきます。
専門用語は、いっさいつかわず、子どもでもわかるフレーズで、わかりやすく解説していきます。
子どもを対象にしているとはいえ、内容は深いです。
フツーは、「フランク王国」や「神聖ローマ帝国」など、「政治面」ばかり取りあげますが、本書はちがいます。
民族移動・言語・宗教にスポットをあてて、中世全体の流れをとらえていきます。
うえ2冊でスタンダードの通史を知ったあとで、根底にながれる文化を理解するのに、最適です。
佐藤賢一『フランス王朝史』シリーズ
著者は、フランス研究の第一人者 ─ 。
シリーズをとおして、中世〜近代までのフランス王朝のながれをたどっていきます。
全部で新書3冊分あります。
とはいえ、小説家でもあるため、文体にドライブ感があります。
物語のように、ぐいぐい読みすすめていけます。
中世のフランス史を知るには、もってこい1冊です。
くわしいレビュー



ホイジンガ『中世の秋』
出版年 | 1919年 |
目次 |
はげしい生活の基調 美しい生活を求める願い 身分社会という考えかた 騎士の理念 恋する英雄の夢 騎士団と騎士誓約 戦争と政治における騎士道理想の意義 愛の様式化 愛の作法 牧歌ふうの生のイメージ(ほか) |
著者は、1900年代を代表する歴史家です。
本書は、すでに古典としては確立しています。
『ホモ・ルーデンス』とともに、かれの主著です。
1400年代〜1500年代、フランス&オランダの人びとを対象に、その暮らしぶりをあらわしたものです。
「文献調査」「実地調査」にもとづく報告書というスタイルをとっています。
けれど、文体表現が、たいへん詩的で、まるで「小説」や「エッセイ」を読んでいる感覚になります。
年代も、ちょうど「近代」にさしかかり、中世文化が失われる時期 ─ 。
そのため、文体から、どこか「さびしく」、哀愁をふくんだ雰囲気がにじみ出ています。
物語として、歴史を把握したい人には、おすすめの1冊です。
おわりに
中世ヨーロッパをより理解できる本を紹介してきました。
世界史について、最低限の教養を身につけるには、どれも役に立つ本ばかりです。
ここにあげた記事を参考に、あらゆるシーンで活用してみてください。
きょうあげた知識が、あなたの役立つとうれしいです。
ではまた〜。