アンガールズ『びしょ濡れの犬のほうが拾いたくなる』感想&レビューです。

公演日 2018年4月
収録 気功術
コンビニ
町内清掃
電気消し鬼ごっこ

遺品整理

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

とりあげるのは、アンガールズ 『びしょ濡れの犬のほうが拾いたくなる』。

前回から、約1年ぶりのライブです。

『気功術』は、気功の先生と弟子のやりとり。

とつじょ師匠をうらぎる弟子 ─ ふたりのドタバタが笑いをおこします。

『コンビニ』は、職場の先輩/後輩のはなし。

モテないとわかりつつも、いかに女の子が素晴らしいかを熱弁する先輩 ─ その極端な主張が笑いの軸になります。

田中さんの素が出ているようで、おもしろかったですね。

個人的に良かったのは、『町内清掃』『運』『遺品整理』の3本。

以下、[あらすじ → ひとこと]の順で、くわしくみていきます。

『町内清掃』


あらすじ

住宅街。

散歩している男のまえに、町内会長がやってくる。

地域のみんなで、ゴミ拾いをするので、参加してほしい、とたのむ。

けれど住民の男は、協力をこばむ。

というのも、

「あなたが思っている以上に、わたしはひとを怒らせる能力に長けているため、参加しても、まわりをイライラさせてしまう」

ため。

「そんなことはない」フォローする町内会長。

自分は「アンガーマネジメント」(=怒りをおさえるスキル)を習得しているので、ちょっとコトでは怒らない、反論する。

しかし言うそばから、住人の

・クネクネしたしぐさ
・優柔不断な態度

に、会長はイライラがこみ上げてくる。

「1、2、3……」と数をかぞえて、怒りを抑えようとするが……

ひとこと

こちらは、田中さん演じる住人の態度&しくざをキッカケに、笑いをおこすコント。

住人のキャラにくわえて、山根さん演じる会長の「アンガーマネジメント」スキルが、笑いのキーになります。

「怒りをおさえることができる」と言い張りつつ、住人の男をみていると、すぐさまイライラがこみあげてくる ─ この逆転・反転ぶりが、笑いをもたらします。

キャラとプロットによる笑いが、うまく調和している作品です。

だれがみても、すんなり笑えるんじゃないでしょうか。

『運』

あらすじ

競馬場。

馬券の購入窓口で、ひとりの男がもめている。

競馬に詳しい友人がやってきて、事情をたずねる。

どうやら、チケットを買ったものの、なんだか当たらないと感じたらしく、払いもどしをしたいらしい。

レース前でも、いったん買った馬券は、お金は戻ってこない ─ 。

そうわかった男は、とほうにくれる。

友人は、払い戻しなんかせずに、購入した馬券が当たるのを信じるしかない、とアドバイス。

とはいえ、馬券の金額をよくみると、

「300万」

と記載。

ケチと言われ続けた男は、1レースに思いきって「300万」をぶち込んだらしい。

あまりの高額に、とまどう友人。

当たらないときの不運を紛らわすために、

「運的に、うまくいかないことがあったあとは、成功するようにできている」

とアドバイス。

しかしいざレースがはじまると、結果はさんざん。

「300万」を一瞬で失う男だったが、友人が述べた、

「運的に、うまくいかないことがあったあとは、成功するようにできている」

を、ふかく信じる。

「300万」を失ったんだから、つぎは大金が当たると、より高額の馬券を買おうとして……

ひとこと

運/不運のはなしを素材に、作られたネタ。

プロットが二転三転するため、みていてとてもおもしろいです。

山根さん演じる友人のアドバイスが、裏目に出て、よりいっそう不運にハマっていく ─ これが笑いの軸になります。

友人とモメていたために、レースに集中できない男。

田中さん演じるかれの

「300万かけたのに、あんまりみないで負けた」

のひとことには、思わず笑ってしまいました。

テーマ&プロットの面でも、いちばんよかった作品でした。

『遺品整理』

あらすじ

アンガールズ・田中の葬式。

相方の山根が、弔辞を読んでいる。

そのとき、死んだはずの田中の声が、きこえてくる。

どうやら、自然の摂理で、死んだあと1時間だけ生きている人に声をかけられるらしい。

田中は、相方の山根に、部屋に隠していた「エッチなDVD」を処分してほしいとたのむ。

メッセージの内容にあきらながらも、葬式を抜けだし、田中の部屋にむかうふたり。

頼まれたとおりDVDを処分していると、田中がいちばんさいしょに作ったネタ帳が出てくる。

じつは、幽霊になった田中のねらいは、このネタ帳にあり……

ひとこと

こちらはドラマ性の高いコント。

ほかのネタにくらべて笑いの要素はうすいながらも、みたあとにジンワリさせられます。

なぜわざわざ、幽霊の田中が、自分の部屋に連れてきて、むかしのネタ帳をみせたのか ─ このねらいが、はなしのキーになります。

爆笑とはいきませんが、ところどころに小ネタが入り、飽きません。

ラストもいい気分させられ、みて良かったなぁと思えます。

シメにふさわしい作品です。

まとめ


こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。

ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。