どうも、リキゾーです。
大学院では、経済政策と社会保障について研究していました。
いまでも、月に10冊以上をチェックし、知識をストックしています。
このあいだ、 加藤久和『世代間格差』を読みました。
著者は経済学者で、計量的なアプローチから経済を分析しています。
この本は、いま話題の年金をふくめ、世代間格差の問題をコンパクトにまとめています。
問題の本質を知りたいひとには、オススメです。
目次
1. 内容
経済社会の制度が疲労し、システムの維持が困難になっています。
それにより年金&医療、働き方、財政運営の見直しが求められてると主張します。
要点はこんなかんじです。
- なぜ世代間格差がうまれたのか
- 要因① 日本の雇用慣行の変化
- 要因② 若者依存の社会保障制度
- 世代間格差への対策
ひとつひとつみていきます。
なぜ世代間格差がうまれたのか
世代間格差がうまれた要因は、つぎの5つです。
- 日本の雇用慣行の変化
- 若者依存の社会保障制度
- 人口構造の変化
- 近視眼的な政策
- 経済成長の鈍化
これらの要因がからまって、世代間で格差が広がりました。
とりわけ、① 日本の雇用慣行の変化と、② 若者依存の社会保障制度が、大きな要因です。
くわしくみていきます。
要因① 日本の雇用慣行の変化
グローバル化と価値観の変化により、これまでの雇用慣行がくずれています。
非正規職の割合はふえていますが、なかみをみると、若い人ほど正社員に就いていません。
労働市場は、若者 / 高齢者が、職を奪いあう「ゼロサムゲーム」になっているのです。
要因② 若者依存の社会保障制度
社会保障の現状をみると、高齢世代への給付が多く、現役世代の割合がすくない。
人生前半期(=現役で働く子育ての年代)の支援がすくないのです。
たとえば雇用についても、非正規などの不安定な働き方には対策がとられていません。
また子育て支援も、十分になされていません。
このアンバランスな社会保障制度が、世代間格差を広げています。
世代間格差への対策
しぜんに考えれば「高齢者から現役世代へ給付を移せばいい」と思えますが、そうはいきません。
人口減少 & 少子高齢化により、経済全体のパイが減っているからです。
なので経済成長をうながし、社会保障費を〝かせぐ〟しかありません。
世代間格差を縮小させて、雇用や社会保障制度を持続させるには経済成長が不可欠なのです。
指針としては、社会保障制度の仕組みに市場メカニズムを組みこむという方向性です。
これまで国が担ってきたサービスに市場メカニズムを導入するやり方です。
たとえば医療保険についても、国がまかなうのではなく、一部は民間に任せる。そうすれば、社会保障費をおさえられ、市場も活性化します。
もちろん何でもかんでも市場にまかせればモラルハザードもおきるので、最低限の医療保証や生活保護は、国にやってもらう。
また、たんに給付するだけでなく、女性 or 高齢者が自発的に働けるように、社会保障制度を工夫するアイデアもあります。
これから少子高齢化がすすみ、労働者不足におちいります。
職業支援などをおこない、ねむっていた労働力を掘りおこして、成長をうながすこともできます。
こんなふうに、社会保障制度と経済成長を両立させ、給付のためのパイをふやせば、じょじょに世代間格差の問題は解消されます。
2. まとめ
出版から10年くらいたちますが、内容は古びていません。
世代間格差の問題にたいして、根本的な策がとられていないことの裏返しともいえます。
格差の原因は、成長させたしくみがくずれているのに、いまだにその雇用慣行と社会保障制度にすがりついていることです。
「変えろ」といっても、制度の恩恵をうける人たち(=高齢者)がすぐには手放しません。
なので、この人たちを政治的に説得しないと「世代間格差」を解消するのはむずかしい。
続編としてここで示された案をどう実行するか、その戦略的なプランものべてほしいとおもいました。
世代間格差の実態や解決策は、オーソドックスなものです。
この問題を知りたいかたには、オススメの一冊です。
ぜひチェックしてみてください。

