近代の歴史 ─ おすすめの本 まとめ

どうも、りきぞうです。

大学のころから、世界史に親しんできました。

大学院時代は、本格的に人文書・歴史書にあたってきました。

・近代の歴史を知るためには、何を読んだら良いの?
・おすすめの本を教えてほしい
・それぞれの本について、著者&内容を知りたい

きょうは、この問いに答えていきます。

先に結論をいえば、つぎのとおり。

おすすめ本
・福井憲彦『近代ヨーロッパ史』
・玉木俊明『海洋帝国興隆史』
・成瀬治『近代ヨーロッパへの道』
・君塚直隆『ヨーロッパ近代史』
・岩崎育夫『アジア近現代史』

さいしょに『近代ヨーロッパ史』で、近代の流れを、ざっくり理解 ─ 。

そのあと、

『海洋帝国興隆史』 → 『近代ヨーロッパへの道』 → 『ヨーロッパ近代史』 → 『アジア近現代史』

の順で読めば、近代史を、深く知ることができます。

以下、目次に沿って、みていきます。

おすすめ本① ─ 『近代ヨーロッパ史』

著者 福井憲彦
出版年 2010年
目次 ヨーロッパによる海外進出の開始
世界交易における覇権争い
一八世紀における社会経済と政治
「啓蒙の光」と近代思想の誕生
人口増加の開始から「移動の世紀」へ
革命に揺れる大西洋世界
ウィーン体制と四八年諸革命(ほか)

著者&内容

著者は、フランス近現代史の専門家。

なぜ、ヨーロッパにおいて近代化が始まったのか ─ この問いのもと、近代の流れをたどっていきます。

・アメリカ合衆国の独立
・フランス革命
・産業革命

などの重要事件をあつかいながら、近代の本質を追求していく。

ひとこと

大航海時代から始まり、第一次世界大戦の破滅までを描きます。

わかりやすく、かつ、端的に記しているので、近代の流れを大まかに知るには、おすすめの1冊です。

さいしょに本書を取り、以降、各時代&テーマを細かく理解するのが、ベターです。

おすすめ本② ─ 『海洋帝国興隆史』

著者 玉木俊明
出版年 2014年
目次 序章 地中海・北海・バルト海・大西洋
第1章 「近代世界システム」の限界
第2章 北海・バルト海・地中海の商業
第3章 大西洋経済の形成とヨーロッパの一体化
第4章 アジア・太平洋とヨーロッパ
第5章 世界の一体化とイギリス
終章 海からみた世界システム

著者&内容

著者は、近代ヨーロッパ経済史の専門家です。

ウォーラステインが提唱した「近代世界システム論」を批判的につかいつつ、海洋交易のようすを探っていきます。

まず、海洋交易ネットワークをおさえた「オランダ」「イギリス」にスポットをあて、2つの国の成り立ちをみていきます。

そのうえで、海(=バルト海、北海、地中海、大西洋)の視点から、ヨーロッパ諸国が、どのように海外貿易をすすめ、繁栄していったのかを論じていきます。

ひとこと

ヨーロッパの近代化は、各国が海洋交易に乗り出したのが、きっかけです。

その背景を知るには、本書は、もってこい1冊です。

また、大交易時代以降、ヨーロッパ諸国が、どのように世界の覇権をにぎっていったのか ─ そのプロセスも、くわしく書かれています。

交易時代後の歴史を知るにも、おすすめの1冊です。

おすすめ本③ ─ 『近代ヨーロッパへの道』

著者 成瀬治
出版年 2011年
目次 第一章 中世的世界の崩壊
第二章 アルプスの北と南
第三章 国家のなかの教会
第四章 暴君をたおせ
第五章 転換期としての十七世紀
第六章 議会の国・王権の国
第七章 戦争と租税、そして民衆
第八章 人民によらぬ人民のための統治
第九章 市民社会の成長

著者&内容

著者は、中近世ドイツ史、ヨーロッパ近代政治思想史の専門家。

中世世界の崩壊から始まり、近代ヨーロッパの市民社会が形成されるまで過程を描きます。

年代としては、1500年代〜1700年代まで。

近代ヨーロッパの時期を、ほぼすべて網羅しています。

ひとこと

近代ヨーロッパにかんする本は、たくさん出ていますが、個人的には、本書がベストでした。

内容の厚み、適度な分量 ─ 日本語で書かれているなかでは、イチバンではないでしょうか。

ところどころ物語形式で記しているトコもあり、読んでいて飽きることはありません。

もちろん、主権国家などの政治制度、市場経済システムなど、近代のしくみについても、ていねいにふれています。

本書をキホンにして、近代ヨーロッパの流れをおさえると良いと思います。

おすすめ本④ ─ 『ヨーロッパ近代史』

著者 君塚直隆
出版年 2019年
目次 はじめに 「ヨーロッパ」とはなにか
第1章 ルネサンスの誕生
第2章 宗教改革の衝撃
第3章 近代科学の誕生
第4章 市民革命のさきがけ
第5章 啓蒙主義の時代
第6章 革命の時代
第7章 人類は進化する?
第8章 ヨーロッパの時代の終焉
おわりに ヨーロッパ近代とはなんであったのか

著者&内容

著者は、イギリス政治外交史、ヨーロッパ国際政治史の専門家。

過去に、『立憲君主制の現在』で、サントリー学芸賞を受賞しています。

この本では、ルネサンス期〜第一次世界大戦までをあつかい、ヨーロッパが世界の覇権をにぎる過程を描きます。

ひとこと

近代の特徴の1つは「神からの脱却」です。

本書でも、「宗教と科学の相剋」という視点から、近代社会の形成プロセスをたどっていきます。

ユニークなのは、政治事件などのように「できごと」から描かず、歴史上の人物から、近代の歴史を記述している点 ─ 。

ヴォルデール、ゲーテなど、個人の視点から近代を描くことで、より身近に、当時のヨーロッパ社会の感覚・雰囲気を感じられます。

政治史以外にも、文化史も学べるので、〝一石二鳥〟です。

おすすめ本⑤ ─ 『アジア近現代史』

著者 岩崎育夫
出版年 2019年
目次 序章 アジアの原型
第1章 モンゴル帝国
第2章 ヨーロッパ勢力の衝撃
第3章 近代日本のアジア支配
第4章 独立・戦争・混乱
第5章 経済開発・民主化・アジア共同体
終章 アジアとは何か

著者&内容

著者は、東アジア・東南アジアの研究家・専門家。

東南アジア・中国など、それぞれの国からではなく、アジア地域を〝ひとまとまり〟にとらえる。

そのうえで、アジア全体が、どのように、欧米列強から進出・侵略されてきたのかを述べていく。

ひとこと

うえ2冊は、ヨーロッパ側から、植民地政策をみてたどりますが、こちらの本は、いわゆる〝非植民地〟サイドから、近代以降の歴史をたどります。

あつかう範囲も、1200年代のモンゴル帝国から始めります。

そして、二つの大戦をつうじて、いまの「アジア共同体」の形成プロセスを、ていねいに述べていきます。

近代以降のアジアといえば、植民地された側=被害国のイメージがあります。

しかし、欧米列強が進出したことで、アジア側にも、経済・文化の面で、影響を与えたのも事実です。

そのあたりの詳細を、本書では、アジアから視点でみています。

アプローチとしては珍しいので、かなりおすすめです。

まとめ

まとめると、

おすすめ本
・福井憲彦『近代ヨーロッパ史』
・玉木俊明『海洋帝国興隆史』
・成瀬治『近代ヨーロッパへの道』
・君塚直隆『ヨーロッパ近代史』
・岩崎育夫『アジア近現代史』

といったかんじ。

この記事が、「近代の歴史について、おすすめの本を知りたい人」の参考になれば、うれしいです。

ではまた〜。