セルバンテスの生涯 ─ 人生・作品・思想

どうも、りきぞう(@rikizoamaya)です。

大学院では、キャリア論と社会保障を研究していました。

社会人なってからは、予備校講師 → ウェブディレクター → ライターと、いろんな職業にたずさわってきました。

働き方についても、契約社員 → 正社員 → フリーランスと、ひと通り経験してきました。

働くなかで思うのは、自分の市場価値をアップするには「教養」が大切だということ。

・良いアイデアを出せる
・深くものごとを考えられる

こういう人たちは、キホン、教養を身につけています。

教養とは、なにか ─ それは、歴史と古典です。

なかでも、文学作品の古典は、王道といえます。

わたしも、計300冊以上は、読んできました。

作品にふれるのも良いですが、書いた人が、どんな人物だったのか ─ それを把握しておくと、より内容を理解できます。

きょうは、

セルバンテスの生涯

を紹介していきます。

『ドン・キホーテ』の作者ですね。

セルバンテスは、近世ヨーロッパ期の人物。

世界史で有名な「レバントの海戦」で、スペイン軍人として参加 ─ 。

退役後、近代小説の金字塔である『ドン・キホーテ』を執筆します。

かれの作品は、小説のカタチをつくった、といわれます。それほど重要な小説です。

近世・近代以降の古典文学にふれるには、まずは『ドン・キホーテ』から入るのが良い。

いっぽう、セルバンテスの人物像を知っておくと、作品を理解し、より楽しむことができます。

そこで、

・セルバンテスの人生
・セルバンテスの主著

をあげて、かれの生涯をたどっていきます。

セルバンテスの人生

まずは、かれの人生 ─ 。

おもな出来事は、つぎの3つです。

① 下級貴族の次男として誕生
② スペイン海軍に入隊
③ 『ドン・キホーテ』の出版

カンタンにみていきます。

① 下級貴族の次男として誕生

セルバンテスは、スペインで、下級貴族(=イダルゴ)の次男として生まれました。

父親は外科医でしたが、家庭は貧しく、[バリャドリード → コルドバ → セビーリャ]の各地を転々とする日々でした。

そのため、しっかりとした教育は受けませんでした。

しかし、〝根っから〟の読書好きで、道ばたにに落ちていても、文字が書かれていれば、拾って読んでしまうほど ─ それくらい、書物には目がありませんでした。

そして、マドリードに引っ越したあと、人文学者「ロペス・デ・オヨス」から教育を受けることになります。

かれのもとで、ひと通りの「詩」「哲学」「歴史」を学び、素養を身につけていきます。

ただし、幼少期については、ちゃんとした記録が残っておらず、詳しいことはわかっていません。

② スペイン海軍に入隊

オヨスのもとを離れたあと、[ローマ → ナポリ]に渡り、スペイン海軍に入隊します。

じつは、なぜ軍隊に入ったのか ─ その経緯&動機も、イマイチ良くわかってません。

その後、世界史で有名な「レバントの海戦」に参加 ─ 。

戦闘中、弾を打ち込まれ、左腕の自由を失います。

また、栄華を極めたスペイン帝国ですが、この戦争での敗北をキッカケに、凋落・衰退していきます。

没落騎士「ドン・キホーテ」を、この時代のスペイン帝国に〝ダブらせて〟、読みとる研究者もいます。

戦争後は、海賊の捕虜となり、アルジェで5年間の捕虜生活をおくります。

キリスト教団体のサポートで、なんとか本国スペインに帰郷しますが、恵まれた職にありつけず、貧乏生活を強いられます。

さらには、徴税吏として働いていたとき、税金を預けておいた銀行が破産 ─ 。

責任をとるかたちで、負債として30倍の追徴金を課せられますが、支払うことができず、投獄されます。

なんとも、波乱万丈な半生です。。

ちなみに、『ドン・キホーテ』の構想は、このときの監獄生活のなかで思いついたと、本人が作品のなかで語っています。

③ 『ドン・キホーテ』の出版

釈放後、1605年に『ドン・キホーテ』が出版されます。

以前から、牧人小説『ラ・ガラテーア』などを発表していましたが、〝鳴かず飛ばず〟でした。

『ドン・キホーテ』は、出版直後に、すぐさま評判となり、版をかさね、ベストセラーとなります。

しかし不幸なことに、「版権」を出版業者にわたしていたので、当人の生活は豊かにならず、そのまま貧乏生活をつづけることに。

それでも、創作活動はつづき、10年後に、『ドン・キホーテ』の続編が出版されます。

その前後にも短編小説が発表され、1616年に息を引きとります。

70歳でした。

セルバンテスの主著

かれは、50をすぎて、ようやく執筆活動をスタートしました。

なので、作品数は多くありません。

短編もおもしろいですが、かれの主著は、文句ナシに、つぎの2冊です。

『ドン・キホーテ・前編』(1605年)
『ドン・キホーテ・後編』(1615年)

以下、構成&内容・ポイント・作品の影響についてみていきます。

構成&内容

一言でいえば、貧乏地主の冒険小説です。

ポイントは、 「騎士道物語」を読みすぎて、自分が「ホンモノの騎士」だと思いこみ、物語 / 現実の区別ができなくなるトコ。

まわりの世界を「騎士道小説の舞台」にしかみれない、郷士(アロンソ・キハーノ)が、かずかずの珍事を起こしています。

有名なのは、「風車」に突っ込むシーンですね。

「風車=巨人」と思いこんだ、郷士「キハーノ」は、愁いの騎士「ドン・キホーテ」として戦いに挑み、突入していきます。

虚構 / 現実の区別のつかないかれは、各地をめぐり、笑える事件・エピソードを起こしていきます。

ポイント

出版当時、スペインでは「騎士道小説」が流行っていました。

セルバンテスは、それを模倣するかたちで、『ドン・キホーテ』を書きました。

その意味、パロディ作品といえます。

内容については、「夢 / 現実」「幻想 / 事実」の区別ができない ─ コレがメインテーマです。

近代にかぎりませんが、これ以降の戯曲・小説は、「理想 / 現実」「幻想 / 事実」のジレンマが、主なモチーフになっていきます。

背景には、神を中心とした「キリスト教世界の崩壊」があります。

近世までは、権威をもったキリスト教(=カトリック教会)が、夢・理想・目標をカタチづくっていました。

しかし、ルネサンス運動などをキッカケに、キリスト教は、「価値」の領域を担うことが、できなくなります。

結果、近代に生きる人びとは、生きる指針を失います。

それにともない、小説家などのクリエイターは、物語をとおして、「理想 / 現実」のジレンマを描くようになります。

その先駆けが『ドン・キホーテ』で、以降、数々の小説家・芸術家に影響を与えていきます。

いっぽうで、『ドン・キホーテ』は、「ドン・キホーテ」の伝記をみつけた人物が、自国の言語に翻訳し、さらにそれを、著者「セルバンテス」が紹介する、というつくりになっています。

つまり、「メタ構造」になっていて、これはこれで「ポストモダン小説」とも読めるわけです。

近代小説でもあり、ポストモダン小説としてもあつかえる ─ 懐の深い作品になっています。

影響

出版された当初は、ただ〝ギャグ小説〟としてしか読まれませんでした。

しかし、価値が崩壊し、〝理想 / 現実のジレンマを、いかに乗りこえるか〟が、近代のテーマになったとき、『ドン・キホーテ』は、再評価を受けます。

具体的には、つぎのような小説家に影響をあたえました。

・チャールズ・ディケンズ
・ギュスターヴ・フローベール
・ハーマン・メルヴィル
・フョードル・ドストエフスキー
・アントン・チェーホフ
・ジェームズ・ジョイス
・ホルヘ・ルイス・ボルヘス

文学史にのこる大物ばかりです。

たとえば、『ボヴァリー夫人』を書いたフローベールは、「夢」「幻想」に囚われた、女主人公「エンマ」を、「ドン・キホーテ」に重ね合わせています。

こんなふうに、どの時代&地域でも、影響をあたえる作品です。

おわりに

セルバンテスの生涯をみてました。

かれの半生を知ることで、古典文学『ドン・キホーテ』を、より深く理解し、楽しめることができます。

文学評論などでは、「ロマン主義」とカラめて、小ムズかしく論じられています。

けれど、〝片意地はらず〟に気楽に読んでみるのが、おすすめです。

それこそ、発表当初に読めれたように、たんなる〝ギャグ小説〟として通読するのが良いです。

結果、〝人間の愚かさ〟〝人間の哀しみ〟が、しみじみと分かってきます。

よければ、参考にしてみてください。

ではまた〜。