どうも、コント作家のりきぞうです。
きょうも、コント作品をレビューしていきます。
取りあげるのは、モリエール『女学者』。
後期の作品です。
以下、ストーリーの大枠をみたあと、笑いのポイントをあげていきます。
ちなみに、鈴木力衛訳、全集本で読みました。
以下、引用のページ番号は、うえのの文献によります。
また2000年には、べつの翻訳も出ています。
わりと読みやすいです。
よければチェックしてみてください。
目次
ストーリーの大まかな流れ
人物
フィラマント
アルマンド……フィラマントの長女
クリザール……フィラマントの夫
アンリエット……フィラマントの次女
クリタンドル……アンリエットの恋人
トリソッソン……エセ学者
場所
クリザールの家(パリ)
あらすじ
知性にこだわるアルマンド & 母フィラマント。
男を下にみて、結婚にも否定的。
「女学者」とバカにされるも、仲間のベリーズといっしょに、エセ学者トリソッソンに心酔する。
そんななかフィラマントのむすめ、アルマンドの妹アンリエットが結婚を申しでる。相手はクリタンドル。
しかし姉のアルマンドは、彼が自分のほうへアプローチしてきたコトを自慢し、「あたしに未練のある人とは結婚すべきではない」と反対する。
また母親も、財産なしのクリタンドルは夫にはふさわしくないと反対する。
かわりに、尊敬するトリソッソン先生をすすめる。
あきれるアンリエット&クリタンドル。
父クリザール、その弟アリストたちもまた、彼女たちの「学問ずき」に頭を悩ます。
そこで、彼女たちの「狂信」を解こうとするが……。

ひとこと
モリエールの喜劇では、ひとつのモノや考えにこだわりすぎるあまり、ジョーシキとかけ離れ、まわりとイザコザをおこすキャラクターが登場する。
今回は、「学問」「知性」にのめりこむ女たち、アルマンド & フィラマントが主人公。
彼女たちが、まわりの人たち、とくに結婚をねがうアンリエット & クリタンドルとのあいだにソゴをきたし、そのズレが笑いを生みだしていく。
クリタンドルからこんなふうに説得される。
クリタンドル 女性がいろんなことに知識を持つことには賛成でふが、しかし、学者ぶりたいために学問をするなんて鼻もちならない情熱は、願いさげですね。ほら、よくあることじゃありませんか、人から質問されたとき、知っていることでも知らないふりをする ─ そんな女性が好きなんです。
(p.249)
またフィラマントの夫クリザールからは、こう非難される。
クリタンドル 台所仕事に不手際さえなければ、あの娘がヴォージュラ〔※ 有名学者〕の規則に背いたからって、いっこうに差し支えないじゃないか?(……)わしは、うまいスープでできているんで、りっぱな言葉で生きてるんじゃない。
(p.266)
ツッコミセリフまわしも笑えるけど、「形式ばった文法」「ご丁寧な言葉づかい」にこだわる、女学者のふるまいはおもしろい。
むりやりトリソッソンとアンリエットを結婚させようとして、公証人に婚姻書を書かせるときも、ごだわりをおしとおす。
フィラマント あなたがたのあの野蛮か書式を変えて、もっと品位のある言葉で契約書を作成していただけないものでしょうか?
公証人 奥さん、わたくしどもの書式は、ちゃんとしたもので、ばかでない限り、一語たりとも変えようとは思わないでしょうね。
(p.322)
こんなふうに、一貫して、まわりとのズレをみせることで笑いをつくりだし、ストーリーを盛りあげていく。
またフィラマントとアルマンドが心酔するトリソッソン先生も、ただのエセ学者で、かれのうさんくささが笑いをうむ。
オリジナルの詩は、ほかの作品からのパクり。ふだんはかしこまってるくせに、ホンモノの学者に盗用を指摘されれば、とたんにキレて、はげしくののしる。
トリソッソン さあ、恥を外聞もなく盗んだものを残らず返して来い。ギリシャ・ローマの作家たちが、あれはおれたちのものだと叫んでいるぞ。
ヴァディウス さあ、おまえこそ詩神たちの住むパルナスの山に登って、下手な詩でホラティウスをかたわにしたお詫びしてくるがいい。
(p.294-295)
どのシーンでも、こんなかんじでドタバタや言い合いがくりかえさせる。
ほかにも、妻に言いなりの夫クリザールの葛藤だったり、かげでアンリエット & クリタンドルを応援する、弟のアリストだったり、魅力的なキャラクターがたくさん登場する。
読んでいてあきないシナリオ。
さすが円熟期の作品だけあって、観てる人を楽しませる工夫がよくみられる。
笑いのポイント
笑いのポイントをみていきます。
コントや喜劇で大事なのは、キャラクターとプロット。
この作品ではプロットに注目してみます。
コントのプロットはとてもシンプル。
[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。
なかでも「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」があります。
パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つです。
ストーリーを整理して、パターンをあてはめてみてると、構図は「反復」だとわかります。
「反復」では、状況や環境が変わっても、それまでと同じアクション、セリフ、出来事をくりかえすようすを描きます。
それによって笑いを引き起こします。
この作品でも、「知識狂い」のフィラマント & アルマンドが、まわりのツッコミをモノともせず、ひたすらカタくるしいコトバをつかいまくり、「頭のよさ」をひけらかす。
このズレのくりかえしが、笑いをひきおこす。
図にするとこんな感じ。
・エセ学者に心酔する
・おカタいコトバを言いまくる
・知識をひけらかす
フィラマント & アルマンド = 女学者
ちなみに「女学者」とは、当時、モリエールのまわりで女性の権限をかかげ、やたら知識を重んじる女たちがモデルになっている。
おなじネタをあつかった『才女気取り』という喜劇も書いている。
いまみると、女性蔑視のかんじがあるけど、どうなんだろう?
モリエールの時代の「男女観」がわかれば、もうすこしこの作品が面白くなるのかも。
まとめ
こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。
ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。
ちがう記事ものぞいてみてください。
ではまた。
よきコントライフを〜。



