ディケンズの生涯 ─ 人生・作品・思想

どうも、りきぞう(@rikizoamaya)です。

大学院では、キャリア論と社会保障を研究していました。

社会人なってからは、予備校講師 → ウェブディレクター → ライターと、いろんな職業にたずさわってきました。

働き方についても、契約社員 → 正社員 → フリーランスと、ひと通り経験してきました。

働くなかで思うのは、自分の市場価値をアップするには「教養」が大切だということ。

・良いアイデアを出せる
・深くものごとを考えられる

こういう人たちは、キホン、教養を身につけています。

教養とは、なにか ─ それは、歴史と古典です。

なかでも、文学作品の古典は、王道といえます。

わたしも、計300冊以上は、読んできました。

作品にふれるのも良いですが、書いた人が、どんな人物だったのか ─ それを把握しておくと、より内容を理解できます。

きょうは、

ディケンズの生涯

を紹介していきます。

イギリスの作家で、『クリスマスキャロル』『デイヴィッド・コパフィールド』の作者ですね。

ディケンズは、近代ヨーロッパ期の人物。

1800年代、イギリス・ロンドンを舞台にした、小説を書きました。

下流〜中流階級の生活をメインに、弱者・子供の視点から、人物・心理・社会を描きました。

イギリスでは「国民作家」としてとおり、『オリバー・ツイスト』『二都物語』『大いなる遺産』は、何度も映画化されています。

文体もさることながら、ストーリー構成がすばらしく、いったん読んだら、抜け出せない ─ それがディケンズの魅力です。

たとえば、アメリカの作家「ジョン・アーヴィング」は、物語の展開こそが〝小説の醍醐味〟としつつ、ディケンズの作品を高く評価しています。

いっぽう、プルーストのように、文体・情景描写・哲学的な思考によってつくられる小説にたいする評価は低い。

好みの問題ですが、ジョイス or ウルフなど、いわゆる「意識の流れ」という手法をつかった作家のくらべると、ディケンズ作品の特徴が浮かびあがってきます。

文体よりも、プロット・物語構成で、読者を引っ張っていくのが、ディケンズのやり方です。

そのため、キホン、かれの作品には〝ハズレ〟がありません。

どの作品から読んでもオーケーですが、かれの人物像を知っておくと、作品を理解し、より楽しむことができます。

そこで、

・ディケンズの人生
・ディケンズの主著

をあげて、かれの生涯をたどっていきます。

ディケンズの人生

おもな出来事は、つぎの3つです。

① 海軍・会計吏の長男として誕生(1812年〜)
② 報道記者として活動(1834年〜)
③ 執筆活動を開始(1837年〜)

カンタンにみていきます。

① 海軍・会計吏の長男として誕生(1812年〜)

ディケンズは、海軍・会計吏の長男として生まれました。

中流家庭で育ちましたが、金銭感覚に乏しい両親だったため、貧しい環境で育つことになります。

まともな教育も受けらず、一家の破産にともない、たった12歳で「ウォレン靴墨工場」で働きはじめます。

貧しく、過酷な少年時代が、かれの作品に、ふかい影を落としています。

② 報道記者として活動(1834年〜)

その後、法律事務所につとめたあと、ジャーナリストになることを決意します。

法廷の速記記者として働いたあと、1834年に新聞記事を書いて以来、本格的に活動しはじめます。

いっぽう、いくつかの雑誌にエッセイを寄稿し、1冊にまとめた『ボズのスケッチ集』が、評判を呼びます。

これが、作家活動の足がかりとなります。

③ 執筆活動を開始(1837年〜)

その後、雑誌『ベントリーズ・ミセラニー』の編集長となり、小説『オリバー・ツイスト』を発表します。

これが大人気となり、以後、亡くなるまで創作をつづけることになります。

じっさいの事件・出来事 or 自身の経験・体験をネタに、『デイヴィッド・コパフィールド』『荒涼館』『二都物語』など、定期的に長編小説を発表し、評価を受けます。

晩年は、鉄道事故に巻き込まれたり、妻と不仲になったり、プライベートは苦しいものでしたが、作家としての人気は、ずっとつづきました。

さいごは、脳卒中で倒れて、息を引きとります。

58歳でした。

ディケンズの主著

死ぬまで創作をつづけたディケンズ ─ 。

たくさんの作品を残しました。

そのなかで、主著とされるのは、つぎのとおり。

・『オリヴァー・ツイスト』(1837年))
・『クリスマス・キャロル』(1843年)
・『デイヴィッド・コパフィールド』(1849年)
・『荒涼館』(1852年)
・『二都物語』(1859年)
・『大いなる遺産』(1860年)

よく、プロットの出来栄えに「ムラがある」なんて言われますが、ここにあげた作品は、すべておもしろいです。

個人的にオススメなのが、『デイヴィッド・コパフィールド』『荒涼館』『大いなる遺産』の3作品です。

プロット&ストーリー構成が、どれもすばらしい。

あとは好みですが、自伝的な物語がスキなら『デイヴィッド・コパフィールド』、社会批評系のストーリーがスキなら『荒涼館』、サスペンスがスキなら『大いなる遺産』といったかんじです。

分量やあらすじをみて、なんとなく決めたら良いと思います。

はじめに読むなら、『大いなる遺産』が、いちばんバランスがいいかもです。

テーマ・手法・文体

どの作品も、当時のイギリス社会における、生活環境や人間心理を描きます。

キホン、子供 or 貧しい人物など、弱者の視点から、「一人称」でもって書かれていきます。

ただ「私小説」とはちがい、語り手の内面は、あまり述べられません。

むしろ、金持ちから貧乏人にまで、〝多種多様な人物〟が描かれ、かれら / かのじょたちを取りまく現状・状況の変化・転換が、述べられていきます。

なので、「私小説」にありがちな「退屈さ」はなく、二転三転するストーリーで、ぐいぐい読み手をひきつけていきます。

キホン、

立場の弱い主人公が成長し、地位を向上するなか、そこで出会う事件・人物・心理を描く

が、モチーフになっています。

『デイヴィッド・コパフィールド』が典型ですが、日本でいえば、「少年マンガ」に近いと思います。

手法については、「写実主義」といえます。

「幻想世界」は、まったく描かないので、そのぶんリアリティをもって読めるはずです。

なかには、ミステリー要素のつよい『エドウィン・ドルードの謎』もありますが、これも犯罪事件をベースに描いているので、幻想小説とはちがいます。

あくまで、事実ベースで小説がつくられるのが、ディケンズの特徴です。

文体については、重苦しくなく、言いまわしは、どれもカンケツなのが特徴です。

くわえて、ユーモアとアイロニー(皮肉)に満ちて、ト書きの箇所でも、くすっと笑ってしまいます。

このあたりは、同じイギリス人の「ジェイン・オースティン」に似ていますね。やはり〝お国柄〟は、あると思います。

ポイント

近代以降の小説・物語は、キホン、夢 / 現実、幻想 / 事実の相克(ジレンマ)が、メインテーマです。

近代のイギリス社会に生きたディケンズも、このモチーフを軸に、作品をつくっています。

たとえば『大いなる遺産』では、子供 or 弱者の「地位向上」を描いています。

この作品のキモは、

事実 / 認識のズレ

です。

〝ワルモノと思っていたヤツが、自分を救ってくれる存在だった〟というのが、「物語の軸」ですが、このモチーフも、思いこみをとおして、幻想 / 事実の対立を描いているわけです。

じっさいの事件・出来事をとおして、

夢 / 現実のズレを、主人公が、どのように克服していくのか ─

どの作品でも、くりかえし、このテーマを描いています。

影響

具体的には、つぎのような小説家に影響をあたえました。

・ドストエフスキー
・プルースト

写実的手法や、たくみなストーリー構成という意味では、1800年代のロシア作家に、大きく影響を与えました。

『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』を描いたドストエフスキーも、そのひとりです。

いっぽう、意外にも、プロットよりも、心理描写&主観主義の立場をとった、プルーストにも影響を与えています。

考えてみれば、『失われた時を求めて』も、自伝的な要素のつよい作品なので、たとえば『デイヴィッド・コパフィールド』など、同系統といえます。

自伝小説を、プルーストなりの手法・思想でもって、語りなおしたのが『失われた時を求めて』なのかもしれません。

ちなみに、プルーストは生涯にわたって、ディケンズ作品の愛読者だったそうです。

おわりに

ディケンズの生涯をみてきました。

有名作品が多いため、どれから読めば良いのか、悩むと思います。

まずは、『デイヴィッド・コパフィールド』『荒涼館』『大いなる遺産』から、チェックしてみると良いと思います。

日本では、『クリスマスキャロル』が有名ですが、こちらは短編で、あまりディケンズの魅力は、感じられないかもです。

長編こそ、かれの本領が発揮されるので。

なので、ぜひうえの3作品にはトライしてほしいと思います。

よければ、参考にしてみてください。

ではまた〜。