どうも、りきぞうです。
大学のころから、世界史に親しんできました。
大学院時代は、本格的に人文書・歴史書にあたってきました。
・大事なキーワード&人物は?
・この時代のポイントは?
きょうは、この問いに答えていきます。
答えは、つぎのとおり。
・スーフィズム(神秘主義)
・アイバク
・ロディー朝ではヒンドゥー教を認めるつつ、スーフィズム(神秘主義)により人びとのあいだでイスラーム化がすすんでいった
この記事では、つぎの本を参考にしました。
目次
デリー・スルタン王朝① ─ ラージプート

それまでヴァルダナ朝がインド一帯をおさめていましたが、わずか1代で分裂し崩壊してしまいます。
そののち約400年にわたり、小さな王国が乱立することになります。この時期を「ラージプート時代」とよびます。
ラージプートとは「王の子」という意味です。各地域の有力者が正統的なクシャトリヤの子孫(=王子)を名のったことに由来します。
ラージープートの王国で有名なのは、つぎの3つの国です。
・パーラ朝(西インド)
・プラティーハーラ朝(北インド)
さいしょのうち、この3国で領土争いをくりひろげていました。
しかしその後、しばらくして、つぎのような末路をむかえます。
・パーラ朝 → ゴール朝によって滅亡
・プラティーハーラ朝 → カズナ朝によって滅亡
注目したいのは、ラージプート諸国を滅亡させたゴール朝&カズナ朝は、イスラーム王朝だという点です。
このころからイスラーム勢力がインドに進出し、ラージープート諸国をおびやかしていきます。
デリー・スルタン王朝② ─ ガズナ朝&ゴール朝

イスラーム教はアラビア半島は成立しました。
つづけて[エジプト → 北アフリカ → ヨーロッパ]へと領土を拡大し、その過程でインドにも進出します。
さいしょの軍事侵攻は、ウマイヤ朝のムハンマド=イブン=カーシム」による、インダス川下流域の征服です。
この遠征をきっかけにイスラームのインド進出が始まります。
本格的な進出はカズナ朝の君主マフムードによるものです。
つづけて約100年後に、カズナ朝を滅亡させたゴール朝が軍の侵攻をおこないます。
当然ながら、北インド一帯をおさめるラージープート諸国も、カズナ朝とゴール朝にたいして抵抗の構えをみせます。
しかしラージープートたちは対立をくりかえしていたので、一致団結して、イスラーム勢力と争うことができませんでした。これが、イスラーム王朝の進出をゆるしてしまった要因とされています。
とはいえ、カズナ朝&ゴール朝も財宝を強奪するのが目的で、現地住人を支配し、インドに国をたてることはしませんでした。略奪したあとは、中東方面へと引き上げていきます。
デリー・スルタン王朝③ ─ 5つの王朝

しかし進出をくりかえすうちに、イスラーム勢力は、インド各地に拠点を構えるようになります。
さいしょに、インドに王朝をひらいたのが奴隷王朝です。君主はゴール朝の武将であるアイバクでした。
都をデリーにおき、約100年間にわたり、北部一帯を治めることになります。
さらに、トルコ系のムガル帝国がインド一帯をおさめるまで、イスラーム王朝の支配はつづきます。
奴隷王朝のあとは、4つの王朝が入れ替わりながら、統治します。
治めた王朝&年代は、つぎのとおり。
・トゥグルク朝(1320〜1413年)
・サイイド朝(1414〜1451年)
・ロディー朝(1451〜1526年)
4つの王朝をまとめて「デリー=スルタン王朝」とよびます。
トゥグルク朝のときには、南インドまで進出し、約100年にわたり安定した統治をおこないます。
デリー=スルタン王朝④ ─ イスラーム進出の影響

統治の面からみた場合、歴代の王朝は、イスラームとヒンドゥーとの融和を図ろうとしました。
さいしょは富を奪うのが目的で、イスラームの教えを強要しました。しかし長期にわたり、インドの人たちをおさめるとなると宗教の摩擦がネックとなります。
そのため各イスラーム王朝は人頭税さえ支払えば、信仰の自由は認めることにします。
その結果、インドではそれまでのヒンドゥー教が根づき、厳格な階級制度であるヴァルナ制も温存されることになります。
これがのちのカースト制にもつながっていきます。
いっぽう、ロディー朝のころには、ヒンドゥー教を認めつつ、スーフィズム(神秘主義)が流行したことで、インドの人びとのあいだでイスラーム化がすすんでいきます。
こんなふうにして、ヒンドゥー教/イスラーム教の勢力が拮抗する状態が、だんたんとうまれていきます。
おわりに
デリー=スルタン王朝をみてきました。
まとめると、こんなかんじです。
・スーフィズム(神秘主義)
・アイバク
・ロディー朝ではヒンドゥー教を認めるつつ、スーフィズム(神秘主義)により人びとのあいだでイスラーム化がすすんでいった
この記事が、デリー=スルタン王朝を理解するさいのヒントになれば、うれしいです。
では、また。



