どうも、りきぞうです。
大学のころから、文学に親しんできました。
大学院時代〜社会人時代にかけても、ひんぱんに作品にあたってきました。
古典作品については、300本以上、読んでいます。
なかでも、ガルシア=マルケス作品には、楽しませてもらいました。
同じように、読んでみようかなぁと思う人もいるかと。
とはいえ、
・たくさんありすぎて、どれから読んだらいいのか分からない
・とくにおすすめの著作は、どれ?
─ こんな悩み&疑問をいだく人も多いはず。
そこで、この記事では、おすすめのガルシア=マルケス作品をあげていきたいと思います。
結論を先にいうと、つぎのとおり。
りきぞう
・おすすめは『百年の孤独』『コレラの時代の愛』の2本
・短編・中編なら『予告された殺人の記録』『大佐に手紙は来ない』『エレンディラ』
ガルシア=マルケスの小説は、ぜんぶ「約20作品」。
主著は、つぎのとおり。
・『大佐に手紙は来ない』(1961年)
・『ママ・グランデの葬儀』(1962年)
・『百年の孤独』(1967年)
・『族長の秋』(1975年)
・『エレンディラ』(1978年)
・『予告された殺人の記録』(1981年)
・『コレラの時代の愛』(1985年)
・『十二の遍歴の物語』(1992年)
・『愛その他の悪霊について』(1994年)
・『わが悲しき娼婦たちの思い出』(2004年)
おすすめは、『百年の孤独』『コレラの時代の愛』の3本です。
どちらも有名作ですが、やはりこの2本は、避けてとおれません。
短編なら、『予告された殺人の記録』『大佐に手紙は来ない』『エレンディラ』の3本。
とくに、『予告された殺人の記録』は、読了後のインパクトは、ものすごいです。
以下、それぞれの作品にたいして、[あらすじ → ひとこと]の順でみていきます。
ガルシア=マルケス作品を読むうえでの参考にしてみてください。
目次
『百年の孤独』
執筆年 | 1967年 |
構成 | 全23章 |
マルケス中期の作品です。
あまりに有名なので、説明は不要かもです。
あらすじ
コロンビアのコミュニティ。
そこでは近親相姦がつづいていたので、「豚のしっぽ」のはえた奇形児が生まれてしまう。
悲劇を起こさないため、ウルスラは性行為を拒み、禁止する。
ひとりの男が、そのふるまいをバカにし、さらには、従兄弟で夫である「ホセ・アルカディオ」が、男を殺害してしまう。
殺したにもかかわらず、ふたりのまえにあらわれる男から逃げるため、夫婦は、生まれた土地をはなれて、ジャングルをさまよいあるく。
そのとちゅう、「マコンド」と名づけた、新しい住居をみつける。
くわえて、これ以上、「豚のしっぽ」が生まれないように、結婚相手は、血縁関係のい者にかぎることを家の教訓とする。
以後「マコンド」では、ふたりの子孫たちが、さまざまな人間模様を演じながら、繁栄するが……
ひとこと
蜃気楼の村「マコンド」の隆盛&衰退を描いた物語です。
100年間にわたるおはなしで、小説というより、一大叙事詩といったかんじです。
あつかう範囲もひろく、人物関係はフクザツであるものの、いわゆる「マジックリアリズム」という手法で、ぐいぐい読者をひっぱっていきます。
おそらく3日もあれば、一気に読めてしまえます。
それくらい〝中毒性の高い〟作品です。
いっぽう、小説家の保坂和志さんがのべているように、あとからふりかえって、いったい何が書いてあったのか、よく思い出せない小説でもあります。
それだけ、その瞬間の〝物語への没頭度〟が高く、時間をおくと、すっかり忘れてしまう状況におちいります。
なんだか損した気分になるかもですが、瞬間の楽しみを思えば、ぜんぜんイヤな気もおきません。
ぜひ手にとってみてください。
『コレラの時代の愛』
出版年 | 1985年 |
構成 | 全43章 |
マルケス中期〜後期の作品です。
あらすじ
17歳の郵便局員「フロレンティーノ・アリーサ」は、13歳の豪商のむすめ「フェルミーナ」に、ひとめぼれ。
コレラにかかるように、恋におちた青年は、
など、恋の病にかかる。
しかし、むすめの父は、名家にとつがせると決めており、結婚には反対。
そのままふたりの仲は引き裂かれてしまう。
やがてかのじょは、コレラ撲滅のためにヨーロッパからやってきた医師「ウルビーノ博士」と結婚する。
ショックをうけるフロレンティーノだったが、何十年でもかのじょを待ちつづけると心にちかう。
いっぽうで、親戚から継いだ運送会社が繁盛し、地域の有力者になるほどに。
そのあいだ、数百人以上の女性たちとカンケーをむすぶが、きもちにはいつも「フェルミーナ」がいて……
ひとこと
『百年の孤独』とは対照的に、こちらは、マルケスがリアリズムに徹した小説とされます。
フローベール『ボヴァリー夫人』をお手本に書かれた作品といわれていますね。
『百年の孤独』もすばらしいですが、個人的には、こちらのほうが〝アクがなく〟、読みやすかったです。
ほかの作品と同じく、文体のテンポがよく、長いスパンのストーリーをあつかっていながら、一気に読めてしまえます。
『予告された殺人の記録』
出版年 | 1981年 |
目次 | 全1章 |
マルケス中期の作品。
あらすじ
婚礼騒ぎの翌朝。
ある男が、滅多刺しに合い、亡くなる。
しかしそれまでに、何度も犯行予告があり、男の身に危害がおよぶのは、わかっていた。
にもかかわらず、なぜ事件は未然に防ぐことはできなかったのか。
・人びとの嫉妬
・街全体の雰囲気
を記述しながら、予告された殺人について描いていく。
ひとこと
マルケスは小説を書くいっぽうで、ルポ記事も書いていました。
本作は、その手法をとりいれた一作とされます。
うえ2作とはちがい、かなり短い分量ながら、はなしのインパクトとしては、めちゃくちゃ強いです。
タイトルどおり、あらかじめわかっていた殺人を描くおはなし ─ このあたりの設定&モチーフからして、すばらしいと思います。
マルケスがミステリー小説を書くとこんなかんじになるだなぁと、感心できる1作です。
『大佐に手紙は来ない』
執筆年 | 1961年 |
構成 | 全1章 |
マルケス初期〜中期の作品です。
あらすじ
1956年、コロンビアでは「暴力の時代」とよばれるほど、政治が混乱していた。
退役軍人の「大佐」は、海岸の小さな村で、病気もちの妻と、貧しく暮らしていた。
稼ぎのない大佐にとって、以前戦ったときの「恩給」が、たよりになる収入源だった。
通達を確かめるため、毎日のように、郵便局をたずねるが、手紙はいっこうに来ない。
そのあいだ、裕福な知人「サバス」に、軍鶏を譲渡・売買をして、窮地がしのごうとするが……
ひとこと
マルケス自身、書きたいことをストレートに表現した作品といわれます。
じつは本作を読んでもらいたくて、『百年の孤独』を書いたとのべているほどです。
テーマはわかりやすく、期待する出来事が訪れない者を描いたおはなしです。
緊迫感はあるものの、個人的には、うえ3作のほうが、インパクトは強いかなぁと感じます。
マルケスが、どのような動機から、小説に取り組んだのか ─ それを知りたい人なら、手にしておきたい1作です。
ちなみに新潮社版の翻訳では、『悪い時』の1編として収録されています。
『エレンディラ』
執筆年 | 1978年 |
目次 |
大きな翼のある、ひどく年取った男 失われた時の海 この世でいちばん美しい水死人 愛の彼方の変わることなき死 幽霊船の最後の航海 奇跡の行商人、善人のブラカマン 無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語 |
マルケス中期の作品です。
こちらは、6つのおはなしから構成される短編集です。
それぞれに関連性はなく、どれから読んでもオーケーです。
個人的には、タイトルにもなっている「無垢なエレンディラ〜」が好きでした。
『百年の孤独』と同じモチーフで、いわゆる「マジックリアリズム」が、そんぶんに発揮されています。
マルケス作品の雰囲気を味わうには、おすすめの1冊です。
まとめ
まとめると、
りきぞう
・おすすめは『百年の孤独』『コレラの時代の愛』の2本
・短編・中編なら『予告された殺人の記録』『大佐に手紙は来ない』『エレンディラ』
ぜひ、ガルシア=マルケス作品を読むうえで、参考にしてみてください。
ではまた〜。