「トレードオフ」とは? ─ わかりやすく説明【事例あり】

どうも、りきぞうです。

大学院では、キャリア論と社会保障を研究していました。

社会人なってからは、[予備校講師 → ウェブディレクター → ライター]と、いろんな職業にたずさわってきました。

働き方についても、[契約社員 → 正社員 → フリーランス]と、ひと通り経験してきました。

働くなかで思うのは、自分の市場価値を高めるには、ある程度の「教養」は必要、ということ。

「優秀だなぁ」と感じる人は、最低限の知識は、アタマに入れています。

なかでも「経済学の知識」は、マストといえます。

そのうち、「トレードオフ」の考えは、とっても大切です。

大定番の教科書『マンキュー入門経済学』でも、「10大ルール」のさいしょに取りあげているほどです。

※ 「経済学の10大ルール」について、こちらでくわしく書いています。

マンキュー経済学 ─ 経済学の10大原則(ルール)

とはいえ、

・「トレードオフ」のちゃんとした定義は?
・わかりやすく説明すると、どういうこと?
・「トレードオフ」の例として、どんなものがある?

─ こんな疑問をいだくかなぁと思います。

きょうは、この問いに答えていきます。

以下、目次にそって、[定義 → 事例]の流れで、詳しくみていきます。

「トレードオフ」とは?

トレードオフ(trade-off)とは、「あるものを選べば、ほかのものを失う」という意味です。

「なにかをゲットするには、なにかを犠牲する必要がある」というニュアンスですね。

慣用句でいうところの「あちら立てれば、こちらが立たず」に近いです。

また「トレードオフ」といったとき、

マーケティング用語/経済学用語

のあいだで、すこしニュアンス or 使われた方が、異なります。

「マーケティング」における意味

マーケティングでは、

品質 or 費用

を選択する場面でつかわれます。

商品の質を高めようとすれば、費用がかかり、儲けが出ません。

いっぽう、費用をけずり、質を落とせば、今後は売れなくなります。

品質をあげること、費用を落とすことは、両立しないわけです。

「経済学」における意味

また「経済学」では、政府が

失業対策 or インフレ抑制対策

を選択する場面でつかわれます。

失業率を下げるために、金融政策&財政政策をとれば、物価が上がってしまいます。

いっぽう、物価を下げ、インフレ抑制するために、政策を実施しなければ、失業率は改善しません。

2つの政策が両立しないとき、トレードオフの関係が成り立つ、とされます。

トレードオフの事例

では、マーケティング用語&経済学用語の違いをふまえつつ、トレードオフの例をあげていきます。

たとえば、あなたが「100万円」をもっていたとします。

それで『ビットコイン』を買ったとします。

その時点で、(100万円分の)『ソフトバンク株』は、購入できなくなりました。

そうです、『ビットコイン』と『ソフトバンク株』が「トレードオフの関係」にあたります。

カンタンですね。

トレードオフは「お金のこと」に限らない

トレードオフは「お金」以外でも成立します。

たとえば、「旅行での移動手段」 ─ 。

電車なら、5,000円の運賃で「2時間」かかります。

いっぽう飛行機なら、10,000円の運賃で「1時間」でつきます。

あなたが電車を選んだ場合、5,000円を節約できるいっぽう「1時間」を犠牲にすることになります。

飛行機を選んだ場合、1時間の余裕をもてるいっぽう、「5,000円」を犠牲にすることになります。

ここでは、「お金」と「時間」がトレードオフの関係になっています。

お金と時間 ─ 両方を手にすることができないわけです。

なぜ「トレードオフ」は重要なのか?

マーケティング(ビジネス)でも、経済学でも、トレードオフの考えは、とても大切です。

なぜでしょうか。

それは、世の中の「資源」と「機会」には、〝限り〟があるからです。

食料 or 燃料といった「資源」は有限です。

いっぽう時間など目に見えない「機会」も有限です。

〝限りがあるもの〟に関して、ひとは「あちらをとるか、こちらをとるか」の選択を迫られます。

それを自覚&把握するためにも、「トレードオフ」の視点は、たいへん重要なわけです。

経済学における重要性

とくに経済学では、お金も資源も「有限である」と考えるのが前提です。

まして、政府による経済政策を構想&実施する場面では、なおさらです。

予算も資源も人材も、限られているからです。

たとえば、決められた「社会保障費」のうち、「子育て支援」にまわすのか、「高齢者支援」にまわすのか ─ 具体例をあげると、キリがありません。

個人の視点からも大事

個人の視点にたっても、手もちの「お金」も、自由につかえる「時間」も、限りがあります。

つねに「トレードオフ」の関係が成り立つ場面に出くわします。

うえにあげた、

節約のために「お金」をとるか、余裕をもつために「時間」をとるか

などは、その典型です。

「資源」「機会」も有限である ─ 。

有効活用するため、つねに「トレードオフ」の関係を自覚する必要がある ─ 。

これが「トレードオフ」の考えが大切な理由です。

おわりに

「トレードオフ」の定義&事例をみてきました。

マーケティングや経済学のジャンルをはじめ、さまざまな場面でつかうキーワードです。

さいしょにのべたとおり、経済学のド定番テキストである、マンキュー『入門経済学』では、さいしょにピックアップされています。

世の中の資源や機会に限りがあるかぎり、どんな個人でも組織でも「トレードオフ」の課題に直面します。

そのことを自覚し、把握するためにも、「トレードオフ」の関係には、ビンカンになっておく必要があります。

「トレードオフ」、いまいちよく分からない人のヒントになれば、うれしいです。

ではまた〜。