【図解】ジョン・ロックの思想&名言 ─ 「白紙説」「単純観念/複合観念」

どうも、りきぞうです。

大学のころから、哲学に親しんできました。

大学院時代は、本格的に人文書・哲学書にあたってきました。

ロックの哲学にも、ふれてきました。

同じように、知りたいなぁと思っている人もいるかと。

とはいえ、

ジョン・ロックはどんな人?
ロック哲学のポイントは?
かれの残した名言は?

─ こんな悩み&疑問をいだく人も多いはず。

そこで、この記事では、ロックの考えをみていきたいと思います。

先に結論をいうと、つぎのとおり。

りきぞう

ロックは、近世ヨーロッパの哲学者
「白紙」「単純観念/複合観念」をキーワードに、独自の哲学を展開した
「習慣は、意思決定や物体運動の癖ばかりではなく、知性の思考癖まで定着させる」などの名言を残している

以下、目次にそって、[著者 → ポイント → 名言]の順でみていきます。

ちなみに、参考にしたロックの本は、こちら。

引用ページも、本書によります。

著者

ロックは、イギリス人で、1632年〜1704年に生きた人です。

本書『人間知性論』で、経験にもとづいた認識論を展開しました。

「イギリス経験論の父」とよばれ、ひとつのジャンルを築きました。

政治哲学者としても有名です。

『統治二論』で記した「社会契約論」は、アメリカ革命&フランス革命の両方に影響をあたえました。

ポイント ─ 「白紙」「単純観念/複合観念」

主著『人間知性論』にしぼって、ロックの思想をみていきます。

ポイントは、「白紙」「単純観念/複合観念」です。

カンケツにまとめると、つぎのとおり。

図解説明

人間の知性を観察したうえで、

・ひとはどこまで認識できるのか?
・なにを認識するのに適しているのか?
・知識・観念は、どのように発生するのか?

を明らかにする。

わたしたちの心は、「白紙(tabula rasa)」で、生まれもった観念(innate ideas)は保有していない。

ひとが心のなかで意識している観念は、経験に由来する。

「熱い」「黒い」など、五感・知覚から得る印象を「単純観念」とよぶ。

(例:「?」は、熱くて、黒い)

単純観念を組み合わせてつくる知識を「複合観念」とよぶ。

(例:熱くて、黒い「?」は、「コーヒー」だ)

知識とは、経験で得た観念の結合/離反だといえる。

ひとこと

ロックの認識論は、はなしのなかみは、そこまでむずかしくありません。

けれど、文章の言いまわしが、カタくるしく、たいくつです。

分量も、けっこうあります。

さらに完訳の翻訳(岩波文庫版)が、かなり古いときています。

おすすめは、拙訳の『世界の名著』シリーズで読むこと。

こちらだと、ポイント部分だけ訳され、ざっくりと内容を把握できます。

名言

つぎに、ロックの名言をあげていきます。

白紙説

〔……〕心は、言ってみれば文字をまったく欠いた白紙(タブラ・ラサ)で、観念はすこしもないと想定しよう。どのようにして心は観念を備えるようになるか。(p.80)

─ 『人間知性論』2章 1

これが有名な「白紙(tabula rasa)」をフレーズをつかった箇所です。

じつは、ロックは「白紙」という単語を、ここでしかつかっていません。

キャッチーなワードなので、何度もつかっているイメージがありますね。

モンテーニュの「クセジュ?」、アダム・スミスの「見えざる手」と同じです。

哲学書とはいえ、読者を引きつけるフレーズは、だいじだなぁと思います。

観念・知識は、経験に由来する

心想(ファンシィ)が心にほとんど限りなく多種多様に描いてきた、あの膨大な貯えは心はどこから得るのか? どこから心は理知的推理と知識すべての材料をわがものにするか? これにたいして、わたしは1語で経験からと答える。(p.81)

─ 『人間知性論』2章 1

この箇所で、ひとの観念・知識は、経験に由来する、宣言しました。

ここから、フランス&オランダの大陸合理論にたいして、イギリス経験論が展開していきます。

具体的には、[バークリー → ヒューム]の流れです。

つづけて、ドイツの哲学者「カント」が、2つの学派を統合し、『純粋理性批判』を発表します。

150年後、一大潮流になるとは、ロック自身は、どこまで認識していたんでしょうかね。

知識は、教育 or 習慣によって左右される

観念の〔……〕強い連結は自然に結ばれず、心がひとりで有意的もしくは偶然につくる。そこで、人が違えば、それぞれ違った心的傾向、教育、関心などに応じて、非常に違ってくる。習慣は、意思決定や物体運動の癖ばかりではなく、知性の思考癖まで定着させる。(p.133)

─ 『人間知性論』2章 33

単純観念の組み合わせによって、複合観念(知識)がつくられます。

ロックは組み合わせのプロセスについては、キホン「偶然性」がつよく、ひとりひとり異なる、とします。

そのさい、大きく影響をあたえるのが、教育 or 習慣です。

たとえば、道ばたで「腕から血を流している幼稚園児」を見たとき(=単純観念)。

子育て中のママさんなら、「大きな事故に巻き込まれた」と考えるでしょう(=複合観念)。

いっぽう、医学を習得している医者なら、「どうして血を流しているのか?」を冷静に分析するでしょう(=複合観念)。

このように、学んできた知識や、いまある境遇・立場・習慣によって、それぞれ異なる認識をいだく

ひとの判断は、経験・習慣にもとづいている点を、ロックは重視します。

ここが「イギリス経験論」とよばれるゆえんです。

個人的には、習慣に〝重きをおく点〟に共感をおぼえます。

まとめ

まとめると、

りきぞう

ロックは、近世ヨーロッパの哲学者
「白紙」「単純観念/複合観念」をキーワードに、独自の哲学を展開した
「習慣は、意思決定や物体運動の癖ばかりではなく、知性の思考癖まで定着させる」などの名言を残している

ぜひ、ロックの哲学を知るうえで、参考にしてみてください。

ではまた〜。