どうも、りきぞうです。
大学のころから、哲学に親しんできました。
大学院時代は、本格的に人文書・哲学書にあたってきました。
なかでも、ヒュームの著作には、長く親しんできました
同じように、読んでみようかなぁと思う人もいるかと。
とはいえ、
・たくさんありすぎて、どれから読めばいいのか分からない
・とくにおすすめの著作は、どれ?
─ こんな悩み&疑問をいだく人も多いはず。
そこで、この記事では、おすすめのヒューム作品をあげていきたいと思います。
結論を先にいうと、つぎのとおり。
りきぞう
・読むべき本は、『人間本性論』『道徳政治論集』『政治論集』の3冊
・認識論について深く理解したいなら、『人間知性研究』がおすすめ
以下、概要&感想をのべつつ、読むべきヒューム作品を、5つあげていきます。
目次
『人間本性論(人性論)』
出版年 | 1740年 |
構成 |
第1篇 知性(understanding)について 第2篇 情念(passions)について 第3篇 道徳(morals)について |
ヒューム初期の作品です。
テーマは、知性・感情・道徳の3点。
当初は、政治・文芸批評まで盛りこまれるはずでした。
ここからもわかるとおり、ロック以来の経験論の立場から、人間本性の全般に考察するのが、本書の目的です。
メインのはなしは、ひとの認識。
いっさいは知覚であるとして、それ以外、人間には与えられていない、とする。
そのうえで、あらゆる対象は、知覚をもとにした確信である、とします。
いっぽう、知覚をこえて、ものごとの原因をつきつめようとするのは、独断論におちいるため、しりぞけます。
ここがヒュームを懐疑論者させる理由です。
現在、ヒュームは、デカルトやロック以上に重要な思想家とされています。
ただし残念ながら、翻訳に恵まれていません。
完訳は、全部で3万円ちかくします。
まずは、拙訳の中公クラシックを読むのがおすすめです。
『道徳政治論集』
出版年 | 1741年 |
構成 | 全3部 |
ヒューム初期〜中期の作品です。
テーマは、政治・経済・道徳・文芸批評などさまざま。
あらゆるジャンルをとりあげた、エッセイ集です。
そのため『人間本作論』より、はなしが具体的で、読みやすいです。
ヒュームが生きていた当時は、こちらで多くの読者を獲得しました。
・趣味と仕事の境界
・スキルを磨く意味
・自殺への考察
などなど、いまでも通じるはなしが、目白押しです。
個人的には、こちらからヒューム思想にふれて、ほかの著作にあたるのがベターかなぁと思います。
とはいえ、こちらも翻訳に恵まれていません。。
完訳だと、1万円ちかくします。
どうにか文庫本版が出てほしいと思います。
『政治論集』
出版年 | 1752年 |
構成 | 全12章 |
ヒューム中期の作品です。
タイトルは『政治論集(Political discourses)』となっていますが、なかみは政治経済論です。
・貨幣
・租税
・貿易
など、政治と経済の関わりについて考察していきます。
当時まだ「経済学(economics)」という学問ジャンルは登場していませんでした。
アダムスミスは、かれより年下。
そのなかで、マーケットに特化した論考を発表したのは画期的でした。
など、いまの経済学界隈で問題になっているはなしも満載です。
経済を考えるうえで、ぜひチェックしておきたい作品です。
『自然宗教に関する対話』
出版年 | 1752年 |
構成 | 全12部 |
ヒューム中期〜後期の作品です。
・宗教に合理性をもとめる基盤はあるのか?
これが本書のテーマになります。
タイトルにもあるとおり、
・哲学者「クレアンテス」
・懐疑論者「フィロ」
が対話するかたちで、はなしがすすみます。
口語スタイルで記されているので、かなり読みやすいです。
ただしテーマが宗教ということなので、わりと読者を選ぶかなぁと思います。
気になる方はチェックしてみてください。
『人間知性研究』
出版年 | 1752年 |
構成 | 全12章 |
ヒューム後期の作品。
テーマは、タイトルどおり知性です。
主著『人間本性論』の第1巻「知性について」を、大幅に書き直したの本書になります。
ひとの認識の特徴をふまえたうえで、
・自由と必然
・奇跡と摂理
などを対象にとりあげます。
かなり抽象的なはなしがつづき、難易度は高めです。
『人間本性論』の大まかな内容がわかっていないと、なかなかシンドいかなぁと思います。
個人的には、主著&エッセイ集をみたあとに、本作にあたるのがおすすめです。
まとめ
まとめると、
りきぞう
・読むべき本は、『人間本性論』『道徳政治論集』『政治論集』の3冊
・認識論について深く理解したいなら、『人間知性研究』がおすすめ
ぜひ、ヒューム作品を読むうえで、参考にしてみてください。
ではまた〜。