どうも、りきぞうです。
大学のころから、文学に親しんできました。
大学院時代〜社会人時代にかけても、ひんぱんに作品にあたってきました。
古典作品については、300本以上、読んでいます。
なかでも、チェーホフ作品には、楽しませてもらいました。
同じように、読んでみようかなぁと思う人もいるかと。
とはいえ、
・たくさんありすぎて、どれから読んだらいいのか分からない
・とくにおすすめの著作は、どれ?
─ こんな悩み&疑問をいだく人も多いはず。
そこで、この記事では、おすすめのチェーホフ作品をあげていきたいと思います。
結論を先にいうと、つぎのとおり。
りきぞう
・小説なら『かわいい女』『犬を連れた奥さん』『ロスチャイルドのヴァイオリン』の3本
・戯曲なら『かもめ』『ワーニャ伯父さん』の2本もふれておきたいところ
チェーホフの小説は、大小あわせて「約500作品」以上。
主著は、つぎのとおり。
・『役人の死』(1884年)
・『カシタンカ』(1887年)
・『ねむい』(1888年)
・『曠野』(1888年)
・『決闘』(1891年)
・『ロスチャイルドのヴァイオリン』(1894年)
・『かもめ』〔戯曲〕(1896年)
・『中二階のある家』(1896年)
・『イワーノフ』(1889年)
・『ワーニャ伯父さん』〔戯曲〕(1899年)
・『かわいい女』(1899年)
・『犬を連れた奥さん』(1899年)
・『三人姉妹』〔戯曲〕(1901年)
・『桜の園』〔戯曲〕(1904年)
チェーホフは、ぼうたいな数の作品を残しました。
そのなかで、短編なら『ロスチャイルドのヴァイオリン』『かわいい女』『犬を連れた奥さん』がおすすめです。
戯曲なら、『かもめ』『ワーニャ伯父さん』から読むと良いです。
ちなみに翻訳ですが、たくさんの種類が出ています。
これまでは「神西訳」が定番でした。
当人が作家さんということもあり、翻訳とは思えないくらい、文章がうまいです。
いっぽうさいきんでは、「沼野訳」「浦訳」も出ており、どちらもカンケツで読みやすいです。
わたしはチェーホフが好きなので、新訳が出ると、かならずチェックしています。
3人ならば、どれを読んでも問題ないと思います。
お三方とも、リストアップした小説・戯曲は、訳しています。
以下、それぞれの作品にたいして、[あらすじ → ひとこと]の順でみていきます。
チェーホフ作品を読むうえでの参考にしてみてください。
目次
『かわいい女』
出版年 | 1899年 |
目次 | 全1章 |
チェーホフ中期〜後期の作品です。
あらすじ
人あたりがよく、だれにでも好かれる「オーレンカ」 ─ 。
まわりからは、いつも「かわいい」と言われている。
男性からもモテて、若いうちに結婚をはたす。
けれど〝素直な性格〟のため、すぐにあいての意見&行動に合わせてしまう。
無意識に、夫の考えをとりいれて、まるで自分の主張であるかのように、語る。
しかし、すこしして最愛の夫が亡くなる。
途方にくれるものの、「かわいい」と評判のオーレンカは、すぐに再婚相手をみつける。
すると、〝染まりやすい体質〟から、まえの夫の考えはすっかり忘れ、いまの夫の意見ばかりにしたがい……。
ひとこと
文豪「トルストイ」に、「これぞ女性だ」と言わしめた小説。
素直な女性像を評価したのか不明ですが、チェーホフからすれば、めちゃくちゃ皮肉をきかした作品です。
いわゆる「主体性」がなく、なんでもかんでも相手の意見に合わせてしまう。
さらに、まるで自分の考えであるかのように、まわりに語りだす。
視点がおもしろしく、ついつい「ニヤッ」としてしまいます。
『犬を連れた奥さん』
出版年 | 1899年 |
目次 | 全1章 |
ひとこと
チェーホフ後期の作品です。
既婚者の銀行家と、若い婦人の不倫を描きます。
ショージキ、ストーリーはなんてことはありません。
ありがちな不倫ばなしです。
けれど、ひとつひとつの自然描写がすばらしく、ふしぎとアタマにのこる作品です。
チェーホフは、あまり人物の心理を描きません。
たんたんと情景・事実をスケッチして、物語を引っぱっていくスタイルです。
本作はその特徴がよくあらわれています。
削ぎおとした言葉で、ふたりのキモチをうきぼりにしていくかんじです。
〝省略ぶり〟は、「これ以上、カンタンに当てはめる言葉がない」と言えるほどです。
ストーリー重視のひとからすれば、なにがおもしろいのか、意味不明かもです。
けれど、チェーホフのねらいがわかると、ものすごい作品だとわかると思います。
『ロスチャイルドのヴァイオリン』
出版年 | 1894年 |
目次 | 全1章 |
チェーホフ中期の作品です。
あらすじ
棺桶づくりで収入をえている「ヤーコフ」。
いっぽう、バイオリン弾きの副業をしている。
ユダヤ人のフルート弾き「ロスチャイルド」と、いっしょに演奏してまわっている。
けれど、かれの奏でる音色が、あまりにみじめでイヤでたまらない。
つい悪口を言い、ののしってしまう。
そんなある日、かれの妻が病気で亡くなる。
さらに、かれの身にも病魔がおそい、のこりわずかとわかる。
すると、ふだんあれほどキライだった「ロスチャイルド」にたいして、申し訳ないきもちがわきあがってきて……。
ひとこと
こちらは、うえ2つとはちがい、はなしが深刻で、トーンも重いです。
いっぽうで、登場人物の「葛藤」を、ぞんぶんに描いています。
もちろん言葉・表現は、たんたんとしています。
けれど、短編というわずかな長さのあいだに、各人物のきもちを、これだけ描写できるのは、おどろきです。
たとえば、同じ国のドストエフスキーも、こころの葛藤を深く描きました。
とはいえ知っているとおり、分量がめちゃくちゃ長くなり、なかなか味わうのが、むずかしい。
いっぽうチェーホフは、わずか数十ページのなかに、わたしたちが感じる葛藤を、盛りこみます。
ここがすごいトコです。
本作はとくにその特徴があらわれています。
ぜひチェックしてみてください。
『かもめ』
出版年 | 1896年 |
構成 | 全4幕 |
チェーホフ中期〜後期の作品です。
ひとこと
うえ3つは短編ですが、こちらは戯曲となります。
小説と同じように、とぎすまされた言葉で、たんたんとストーリーを引っぱっていきます。
・かれの恋人で女優志望「ニーナ」
のゆくえを描きます。
ほかの短編と同じく、たいした事件・出来事はおこりません。
けれど、わずかなセリフで、トレープレフ&ニーナの葛藤を、たんたんと表現します。
なんともいえない笑いどころ&セリフをあって、「くすっ」とさせられます。
笑いと失望が、うまく調和させるのが、チェーホフの魅力です。
『ワーニャ伯父さん』
出版年 | 1899年 |
構成 | 全4幕 |
チェーホフ中期〜後期の戯曲です。
ひとこと
美人の姪っ子と、その夫のために、汗水たらして働く「ワーニャ伯父さん」が主人公です。
こちらも、かんたんな言葉で、ワーニャ伯父さんの葛藤を、たんたんと描きます。
いっぽうで、『かもめ』と同じく、皮肉がきいていて、哀しみに満ちた笑いを、味わうことができます。
チェーホフ作品は、さいしょ読むと「ポカーン」としますが、いくつかの作品にあたると、かれの魅力がわかってきます。
ほかに『三人姉妹』『桜の園』の代表作もあるので、ぜひ目をとおしてみてください。
まとめ
まとめると、
りきぞう
・小説なら『かわいい女』『犬を連れた奥さん』『ロスチャイルドのヴァイオリン』の3本
・戯曲なら『かもめ』『ワーニャ伯父さん』の2本もふれておきたいところ
ぜひ、チェーホフ作品を読むうえで、参考にしてみてください。
ではまた〜。