【図解】アリストテレスの思想&名言 ─ 「倫理的徳」「中庸」

どうも、りきぞうです。

大学のころから、哲学に親しんできました。

大学院時代は、本格的に人文書・哲学書にあたってきました。

アリストテレスの哲学にも、ふれてきました。

同じように、知りたいなぁと思っている人もいるかと。

とはいえ、

アリストテレスはどんな人?
アリストテレス思想のポイントは?
かれの残した名言は?

─ こんな悩み&疑問をいだく人も多いはず。

そこで、この記事では、アリストテレスの考えをみていきたいと思います。

先に結論をいうと、つぎのとおり。

りきぞう

アリストテレスは、古代ギリシャの哲学者
「中庸」をキーワードに、独自の思想を展開した
「幸福は、それ自体で望ましい活動のひとつ」「幸福とは何も欠けていない、自足的なもの」 といった名言を残している

以下、目次にそって、[著者 → ポイント → 名言]の順でみていきます。

ちなみに、参考にしたアリストテレスの本は、こちら。

引用ページも、本書によります。

著者

ギリシャの哲学者で、BC.384 年〜BC.322年に生きた人です。

プラトンより50歳ほど年下で、青年期は、うえにあげた「アカデメイア」で学問を学びました。

「人間とは、知を愛する者である」 ─ そう定義したうえで、論理学・政治学・自然学・演劇学など、あらゆる知を体系化しました。

主著は『形而上学』『ニコマコス倫理学』『政治学』など。

けれど、どの著書も自身で書いたのか不明です。

弟子 or 学園生徒が、アリストテレスの講義をもとに、編纂したとされています。

ポイント ─ 「倫理的徳」「中庸」

『ニコマコス倫理学』にしぼって、アリストテレス思想について、みていきます。

ポイントは、「倫理的徳」「中庸」です。

カンケツにまとめると、つぎのとおり。

図解説明

ひとが幸福になるには、「徳(アレテー)」をもつのが大切である。

徳には、「知性的徳/倫理的徳」の2種類がある。

知性的徳とは、

・知恵(ソフィア)=ものごとの理解
・思慮(フロネーシス)=ものごとの判断
・技術(テクネー)=ものごとの制作

をさす。

これらは、教育・学習によって、習得できる。

いっぽう、倫理的徳とは、

・節制
・勇気
・自尊心

をさす。

これらは、習慣によって、身につけることができる。

幸福になるには、正しい知識 or 高い技能を意味する「知性的徳」だけでは不十分である。

同時に、勇気 or 節制といった「倫理的徳」も必要である。

倫理的徳の習得には、中庸(=ほどほど)を意識した習慣を、つねに心がけるべきである。

ひとこと

『ニコマコス倫理学』は、倫理学にかんするアリストテレスの講義&ノートを、息子「ニコマコス」が編集したものです。

メインテーマは、

・善
・徳
・幸福

など。

アリストテレス以前、ソクラテス&プラトンは、「善き生とはなにか」を探求しました。

そのさい、「徳(アレテー)」を軸にすえました。

アリストテレスは「徳とは何か」をより具体化し、「善き生」「人間の幸福」を定義しました。

古代ギリシャ思想において、善・徳・幸福が、どんなふうに考えられていたのか ─ それを知るうえでも、最適な1冊です。

名言

つぎに、アリストテレスの名言をあげていきます。

徳(アレテー)とは?

〔……〕徳とは、中間性であるということ、特定の行為から生じる性向であるということ、自らに基づいて為されるものであるということ、われわれ次第であり、そして自発的なものであるということ、そして正しい理由が命じるところに従うものであるということ〔……〕(上巻 no.2278)

アリストテレスは、徳を、このように特徴づけます。

ややこしいですが、まとめると、

・中間性・中庸性
・自発性・内発性
・知性をこえたところからの命令

ということです。

この3つの特徴から、徳を定義づけていきます。

1つ目の「中庸性」は、アリストテレスの「徳(アレテー)論」では、いちばんの軸になります。

また、3つ目の「知性をこえたところからの命令」は、カントの道徳論(実践理性)へと、受け継がれていきます。

幸福=自足的な状態=観想的な活動

幸福は、それ自体で望ましい活動のひとつであって、ほかのものゆえに望ましい活動のひとつではないと考えなければならない。というのも、幸福とは何も欠けていない、自足的なものだからである。(下巻 no.4601)

倫理的徳の習得には、中庸を意識した習慣を身につけること、としたうえで、幸福を、このように定義します。

ほかとくらべず、それ自体の行動で、満足する状態を「幸福」とよびます。

このあたりの考えは、[ストア派&エピクロス派 → 古代ローマ思想]へと、流れていきます。

また、(状態ではなく)活動においては「観想的活動」が、完全な幸福である、と主張します。

観想(テオリア)とは、真理を考察することをさします。

その理由は、つぎの6つ。

1. 最善
2. 連続的
3. 純粋な快楽をもたらす
4. 必要なものが、かからない
5. それ自体が目的となりうる
6. 余暇を満たす

この6つの条件を満たすために、観想的活動こそが幸福である、と結論をくだします。

くわしいはなしは、本文をみて、自分なりに判断してほしいと思います。

個人的には納得するいっぽうで、この境地に達するには、なかなかムズかしいなぁと感じました。

まとめ

まとめると、

りきぞう

アリストテレスは、古代ギリシャの哲学者
「中庸」をキーワードに、独自の思想を展開した
「幸福は、それ自体で望ましい活動のひとつ」「幸福とは何も欠けていない、自足的なもの」 といった名言を残している

ぜひ、アリストテレスの思想を知るうえで、参考にしてみてください。

ではまた〜。