どうも、りきぞうです。
大学のころから、文学に親しんできました。
大学院時代〜社会人時代にかけても、ひんぱんに作品にあたってきました。
古典作品については、300本以上、読んでいます。
なかでも、ディケンズ作品には、楽しませてもらいました。
同じように、読んでみようかなぁと思う人もいるかと。
とはいえ、
・たくさんありすぎて、どれから読んだらいいのか分からない
・とくにおすすめの著作は、どれ?
─ こんな悩み&疑問をいだく人も多いはず。
そこで、この記事では、おすすめのディケンズ作品をあげていきたいと思います。
結論を先にいうと、つぎのとおり。
りきぞう
・おすすめは『デイヴィッド・コパフィールド』『大いなる遺産』『二都物語』の3本
・通好みなら 『荒涼館』、カンタンな作品なら『オリヴァー・トゥイスト』が Good
いまのところ、ディケンズの小説は、ぜんぶ「約20作品」。
主著は、つぎのとおり。
・『クリスマス・キャロル』(1843年)
・『デイヴィッド・コパフィールド』(1850年)
・『荒涼館』(1852年)
・『二都物語』(1859年)
・『大いなる遺産』(1860年)
おすすめは『デイヴィッド・コパフィールド』『大いなる遺産』『二都物語』の3本です。
『デイヴィッド・コパフィールド』は、自伝的要素がつよく、読みごたえのある作品です。
文庫5冊分と、かなりの分量ですが、あっというまに読めてしまえます。
『大いなる遺産』『二都物語』も、ストーリー構成がすばらしい。
くわえて人間性に訴えかける作品で、読了後は〝ずしん〟ときます。
よりフクザツなストーリーが好きなら『荒涼館』、はんたいに、カンタンで楽しいおはなしが好きなら『オリヴァー・ツイスト』が、おすすめです。
以下、それぞれの作品にたいして、概要&感想をのべていきます。
ディケンズ作品を読むうえでの参考にしてみてください。
目次
『デイヴィッド・コパフィールド』
出版年 | 1850年 |
目次 | 全64章 |
ディケンズ中期の作品です。
自伝的要素がつよく、いちばん人気があります。
ディケンズ自身も、自分が書いたなかで、もっとも好きだとのべているほどです。
あらすじ
シングルマザーのもとで生まれた「コパフィールド」。
女中「ペゴディー」と母親といっしょに生活をおくる。
父は、生まれる直前に亡くなっていた。
しばらくして、夫のいない寂しさから、母親は、マードストンという男と再婚する。
しかし、強権的かつ暴力的な夫をまえに、母も、コパフィールドも、苦しい生活を強いられる。
結果、精神を病んだ母親は亡くなり、コパフィールドは「孤児」の身になる。
それにともない、マードストンの口利きで、炭坑現場へと出稼ぎにおくられる。
けれどあまりの辛さから強制労働の仕事場から抜けだし、いまではただひとりの身内である伯母「ベッチィ」のもとにすがりつく。
コパフィールドも、死んだかれの両親に、良い印象をもっていないベッチィ ─ 。
しかし、ボロ切れ一枚でやってきた甥っ子のまえに同情したかのじょは、養子として引きとることに。
身なりを整え、カンタベリー近くの学校へ入学させる。
下宿先には、弁護士「ウィックフィールド」を住居をえらぶ。
そこには、弁護士のむすめ「アグネス」も同居していた。
同じ年代の少年少女ということで、以後、強い信頼関係で結ばれる。
いっぽう、父親の弁護士のもとには、事務員「ヒープ」が働いていた。
みずからをさげすみ、遠慮がちにふるまっているが、ひそかに弁護士の事務所と、むすめのアグネスをねらっていて……
ひとこと
文庫本で5冊分。
とっても長い物語です。
あらすじは、うえのとおりですが、それでも2巻のはじめまでしかのべていません。
以後、アグネス/ヒープが、善悪のキャラとしてすえられ、おはなしがすすんでいきます。
くわえて、
・ペゴディーの兄「ミスター・ペゴディー」
・薄幸の夫婦「ミコーバー夫妻」
との関わりが挿入され、物語がフクザツに展開していきます。
めちゃくちゃ長い小説ながら、ディケンズが得意とする〝見事なプロットの展開〟から、ついつい先を読みすすめてしまいます。
「長いために、退屈」なんてことは、まずありません。
ちなみに本作は、ディケンズ自身の自伝的な要がつよく、ところどころ本人が体験したエピソードが登場します。
そのために、みょうにリアリティがあり、これが本作の魅力にもなっています。
くわしいレビュー

『大いなる遺産』
出版年 | 1860年 |
目次 | 全3部・59章 |
ディケンズ後期の作品です。
あらすじ
両親を亡くし、姉夫婦のもとで暮らす、少年「ピップ」 ─ 。
鍛冶屋をいとなむ夫妻ですが、生活はラクではない。
ジャマ者のかれは、義姉の暴力をうけながら、きびしい環境で育つ。
あるとき、ちかく湿地帯を歩いていると、見知らぬ男におそわれる。
男は、脱獄犯 ─ 。
ヒップに、食料と、手錠を引き裂くためのヤスリをもってくるよう、おどす。
求めに応じたヒップですが、囚人を助けたことに、罪悪感をいだきつづける。
しばらくしたあと、町の富豪「ハヴィシャム夫人」に招かれる。
かなしいカコを背負い、歪んだ性格の夫人 ─ 。
けれどヒップは、うまくやりとりをかわし、親しい仲になる。
そんなある日、ヒップはとつぜん「差出人不明」の相手から、「莫大な遺産」を譲りうける。
夫人からの「遺産」だと確信するヒップは、みじめな境遇から抜け出し、ロンドンへ旅立つが……
ひとこと
あらすじだけでも、惹きつけられますよね。
わたしも、久しぶりに再読してみたんですが、わずか3日で読み終えてしまいました。
それだけ〝ひきのつよい〟作家さんです。
エンタメとしてもおもしろいですが、文学作品としても第一級です。
ドストエフスキーやプルーストなどにも、影響を与えているくらいです。
ディケンズ作品のなかでも、エンタメ性と芸術性が、うまくマッチしている作品です。
味わいつつも、一気に読みすすめるのが、おすすめです。
くわしいレビュー

『二都物語』
出版年 | 1859年 |
目次 |
第一部 人生に甦る 第二部 金の糸 第三部 嵐のあと |
あらすじ
フランス人の「ダーネイ氏」。
イギリスに帰化したかれだったが、アメリカとの密輸疑惑で、裁判にかけられる。
恋人「ルーシー」、その父「マネット医師」の働きもあり、なんとか有罪をまぬがれる。
いっぽう、マネット医師もまたフランス人で、イギリスに亡命するかたちで暮らしていた。
青年時代、フランス本国で〝残酷は行為〟をうけ、ちょっとした記憶障害におちいっていた。
裁判からしばらくして、ダーネイ氏は、マネットとの結婚を決意する。
プロポーズのまえに、かれは、父親のマネット医師に了承をとりにうかがう。
結婚には賛成するマネット医師だったが、じぶんが認めるまで、ダーネイ氏の家系・出生については、むすめに明かさないでほしい、とたのむ。
じつはダーネイ氏の家系は、フランスで、広大な領地をもつ貴族だった。
けれどかれは、特権を利用して、民衆に不当な圧力をくわえる貴族階級に、違和感をおぼえる。
反発心から貴族の身分を投げすて、イギリスに渡り、じぶんのチカラで生計を立てていた。
そんなかれの生い立ちを知ってか、マネット医師は、ダーネイ氏の出生をだれにも教えないかわりに、かれとむすめの結婚をみとめる。
それから数年後。
フランス本国で革命が勃発 ─ 。
貴族にたいする民衆の不満が爆発し、上流階級の人びとは、はげしい粛清にあう。
そんななか、フランスにいる元執事から、ダーネイ氏のもとに、「不当逮捕によってつかまった自分を、助けてほしい」とする内容の手紙が届く。
貴族への殺害・排除がつづくなか、元貴族で自分に責任を感じたダーネイ氏は、妻のマネットと、むすめをおいて、フランス本国へ帰国するが……
ひとこと
ストーリーの軸は、ダーネイ氏の家系と、マネット医師のカンケー。
過去、マネット医師が、ダーネイ氏一族からうけた残虐行為が、物語のカギになります。
記憶障害がありながら、ダーネイ氏一族のふるまいをゆるしているマネット医師 ─ 。
しかしフランス本国では、たとえダーネイ氏が上流階級の身分をなげすて、イギリスに渡ったとしても、貴族の血にうまれた者を許すことはありません。
こんな状況下でも、ダーネイ氏は、仲間を助けるために、フランスへ帰国します。
そこでの争いとかけひきが、ストーリーをひっぱっていきます。
くわしいレビュー

『荒涼館』
出版年 | 1852年 |
構成 | 全67章 |
ディケンズ中期の作品です。
あらすじ
美少女「エスタ」。
かのじょは、みずからの出自・出生がわからないまま、きびしい代母に育てられる。
その後、孤児となったエスターは、共同住居「荒涼館」にうつる。
人がらの良いかのじょは、まわりの人たちに頼りにされ、人望をあつめる。
そんななか、エスターの周辺で、「ジャーンダイス訴訟」がおきる。
その裁判では、つぎつぎ関係者が破滅の道を歩むことに。
それでもなかなか決着をみない訴訟 ─ いつしか関係のなさそうなエスターの身にもせまってきて……。
ひとこと
テーマは、法制度。
かれが生きた「ヴィクトリア朝」時代の
・慈善事業
の欠陥・矛盾を、物語にのせて、記していきます。
「文庫4冊分」と、こちらも分量は多めです。
とはいえ、探偵小説風でもあるため、ついつい先が気になって読みすすめてしまいます。
裁判事件を扱っているため、ほかの作品にくらべて難易度は高め。
けれど、プロットの構成は、全作品のなかでも、1、2をあらそいます。
『オリヴァー・トゥイスト』
出版年 | 1838年 |
構成 | 全53章 |
ディケンズ初期の作品です。
この作品で、かれは本格的に小説家デビューをはたしました。
『〜コパフィールド』と同じく、自伝的要素がつよい内容になっています。
孤児「オリヴァー」が、さまざまな逆境&困難をとおして、成長・出世していく物語です。
『大いなる遺産』『二都物語』ほど、プロットは複雑ではありません。
そのぶん、カンタンすぎて、やや物足りないかもです。
いっぽうで、はじめてディケンズ作品を手にする人には、おすすめです。
さらっと読めて、ディケンズの構成力を味わうことができます。
まとめ
まとめると、
りきぞう
・おすすめは『デイヴィッド・コパフィールド』『大いなる遺産』『二都物語』の3本
・通好みなら 『荒涼館』、カンタンな作品なら『オリヴァー・トゥイスト』が Good
ぜひ、ディケンズ作品を読むうえで、参考にしてみてください。
ではまた〜。