どうも、りきぞうです。
大学のころから、哲学に親しんできました。
大学院時代は、本格的に人文書・哲学書にあたってきました。
なかでも、ニーチェの著作には、長く親しんできました
同じように、読んでみようかなぁと思う人もいるかと。
とはいえ、
・たくさんありすぎて、どれから読めばいいのか分からない
・とくにおすすめの著作は、どれ?
─ こんな悩み&疑問をいだく人も多いはず。
そこで、この記事では、おすすめのニーチェ作品をあげていきたいと思います。
結論を先にいうと、つぎのとおり。
りきぞう
・読むべき本は、『道徳の系譜』『悦ばしき知識』『力への意志』の3冊
・物語形式が好きなら、『ツァラトゥストラはかく語りき』がおすすめ
ニーチェの著書は、ぜんぶで「約15作品」あるといわれています。
一覧は、以下のとおり。(「+」を押すと開きます)
・『反時代的考察』(1876年)
・『人間的な、あまりにも人間的な』(1878年)
・『曙光』(1881年)
・『悦ばしき知識』(1882年)
・『ツァラトゥストラはかく語りき』(1885年)
・『善悪の彼岸』(1886年)
・『道徳の系譜』(1887年)
・『偶像の黄昏』(1888年)
・『アンチクリスト(反キリスト者)』(1888年)
・『この人を見よ』(1888年)
・『力への意志』(1901年 ※ 死後出版)
・『生成の無垢』(1956年 ※ 死後出版)
主著は、『悦ばしき知識』『道徳の系譜』『善悪の彼岸』『ツァラトゥストラはかく語りき』など。
『道徳の系譜』は、ニーチェにはめずらしく、論文形式で書かれています。
そのため、感覚でなく論理で読めるので、研究者から好まれています。
一般のひとも、本書から入ったほうが、ちゃんとアタマで、ニーチェの言いたいことがわかると思います。
いっぽう、『悦ばしき知識』『ツァラトゥストラはかく語りき』は、詩的・物語形式で書かれています。
ニーチェ思想、ざっくり把握したら、こちらにすすむのがベターです。
個人的には、『力への意志』が好きです。
死後出版ですが、後期ニーチェの思想が、断片形式であげられています。
以下、目次にそって、各作品の概要&感想をのべていきます。
ニーチェ作品を読むうえで、参考にしてみてください。
目次
『道徳の系譜』
| 出版年 | 1787年 |
| 目次 |
第一論文 「善と悪」と「良いと悪い」 第二論文 「罪」「疚しい良心」およびこれに関連したその他の問題 第三論文 禁欲の理想の意味するもの |
ニーチェ中期〜後期の作品です。
テーマは、西洋における道徳の歴史について。
ニーチェの著書は、詩的要素のつよい「アフォリズム形式」で書かれるのが多い。
いっぽうこちらは、散文形式による記述で、ロジカルに書かれています。
そのため、ニーチェがいったい何を問題にしているのか ─ そのことがストレートにわかります。
ひとが、良い/悪い、と判断するとき、どんな背景をもってかたっているのか ─ その点を〝暴露〟しながら論じていきます。
刺激のつよいニーチェ思想ですが、こちらは体系的に記述されるので、わりと納得感をもって読みすすめることができます。
個人的には、さいしょに出るなら、本書かなぁと思います。
『悦ばしき知識』
| 出版年 | 1782年 |
| 目次 |
「戯れ、企み、意趣返し」 第1書 第2書 第3書 第4書 聖なる一月 第5書 われら怖れを知らぬ者 プリンツ・フォーゲルフライの歌 |
ニーチェ中期の作品です。
テーマは、人生と知識について。
ありふれた悲観論におちいらず、
・歓喜をもたらす知への没頭
を主張します。
一部の内容は、『道徳の系譜』とかぶっていながら、こちらは「アフォリズム形式」で書かれています。
そのためニーチェの思想を、より直感的に理解できます。
・神(GOD)は死んだ
など、ニーチェ哲学のコアになる考えも示されています。
こちらも、避けては通れない1冊です。
『力への意志』
| 出版年 | 1901年 |
| 目次 |
第1書 ヨーロッパのニヒリズム ・ニヒリズム ・ヨーロッパのニヒリズムの歴史 第2書 これまでの最高価値の批判 ・宗教の批判 ・道徳の批判 ・哲学の批判(※ 以上「上巻」) 第3書 新しい価値定立の原理 ・認識としての権力への意志 ・自然における権力への意志 ・社会および個人としての権力への意志 ・芸術としての権力への意志 第4書 訓育と育成 ・階序 ・ディオニュソス ・永遠回帰 |
ニーチェの死後に発表された作品です。
かれの草稿を、妹「エリーザベト」が編纂して、出版しました。
「力への意志」という概念は、生前の作品にも記されていました。
本書では、断片がつらなるかたちで、記されています。
ここでいう「力」とは、ショーペンハウワーのいう「意志」にちかいです。
「いまの自分よりも、より良いものになろう」 ─ そう思わせる「エンジン」みたいなもの。
ショーペンハウワーは、それを抑制・否定するところに、人生の幸福をみました。
いっぽうニーチェは、意志を促成・肯定するところに、幸せ・喜びをみます。
どちらが正しいかは、ひとそれぞれですが、両者を比較すると、ニーチェの思想をふかく理解できます。
本書も、その流れでみるのが、おすすめです。
「文庫2冊分」と、分量は多いです。
けれど断片形式で書かれているので、ちょくちょく目をとおしながら、読みすすめるのが、良いです。
『ツァラトゥストラはかく語りき』
| 出版年 | 1844年 |
| 目次 |
第1部 ツァラトゥストラの教説 ・三つの変化について ・徳の講座について(ほか) 第2部 ・鏡を持つ幼子 ・至福の島々で(ほか) 第3部 ・漂泊者 ・幻影と謎について(ほか) 第4、最終部 ・蜜の供物 ・悲鳴(ほか) |
ニーチェ中期の作品です。
こちらは完全に物語形式で書かれています。
ゾロアスター教の開祖「ザラスシュトラ」(=ツァラトゥストラ)を登場させ、かれの口をかりるかたちで、
・神(GOD)の死
・永劫回帰の提示
を展開していきます。
一般には、ニーチェ思想のすべてがつまっているとされる作品です。
けれど、物語にしては、ストーリー性がありません。
くわえて、話している内容も抽象的。
ショージキ、いきなり読んでも、よくわからないと思います。
個人的には、ほかのニーチェ作品にあたってから読むのがおすすめ。
もしくは、ほかの解説本をチェックしてから、手にするのがベターです。
『悲劇の誕生』
| 出版年 | 1872年 |
| 構成 |
アポロ的夢幻とディオニュソス的陶酔 ディオニュソス的ギリシア人 アポロ的文化の基底 アポロ的・ディオニュソス的なギリシア文化の推移 抒情詩人の解釈 詩と音楽との関係 悲劇合唱団の起源 サチュロスと演劇の根源現象 ソフォクレスとアイスキュロス 悲劇の秘教(ほか) |
ニーチェ初期の作品です。
テーマは、ギリシャ芸術について。
ギリシャ神「アポロン」「ディオニュソス」の思想を対比しつつ、
ギリシャ悲劇の特徴について述べていきます。
ニーチェというと、詩的な哲学者といわれますが、もともとはちゃんとした「文献学者」でした。
本書は、その成果をあらわした1作です。
ここから、[アポロン → ソクラテス → プラトン → キリスト教思想]につらなる「抑制的な生」を批判してきます。
ニーチェの発端を知るには、目をとおしておきたい1冊です。
その後、なぜニーチェは、キリスト教思想・西洋哲学を批判するようになるのか ─ そのキッカケが本書に書かれています。
まとめ
まとめると、
りきぞう
・読むべき本は、『道徳の系譜』『悦ばしき知識』『力への意志』の3冊
・物語形式が好きなら、『ツァラトゥストラはかく語りき』がおすすめ
ぜひ、ニーチェ作品を読むうえで、参考にしてみてください。
ではまた〜。







