どうも、りきぞうです。
大学のころから、哲学に親しんできました。
大学院時代は、本格的に人文書・哲学書にあたってきました。
なかでも、キケロの考えには、長く親しんできました。
同じように、知りたいなぁと思っている人もいるかと。
とはいえ、
・キケロ思想のポイントは?
・かれの残した名言は?
─ こんな悩み&疑問をいだく人も多いはず。
そこで、この記事では、キケロの考えをみていきたいと思います。
先に結論をいうと、つぎのとおり。
りきぞう
・自然(natura)の考えを軸に、国家運営・人生のあり方を説いた
・老いについて「自然はわれわれに、住みつくためではなく、仮の宿りのために旅籠を下さった」などの名言を残している
以下、目次にそって、[著者 → ポイント → 名言]の順でみていきます。
…
ちなみに、翻訳は以下の本です。
引用ページも、こちらによります。
目次
著者&背景
著者
キケロは、共和制ローマ末期の、 BC.106年〜BC.43年に生きた人です。
ローマの政治家・哲学者です。
政治家であると同時に、プラトン&アリストテレスなどのギリシャ哲学を、ラテン語でローマで紹介しました。
その過程で、政治や倫理について、自分なりの思想をつくりあげていきました。
学術的には、ストア派の代表者とされます。
背景
政治家ということで、『国家論』『義務について』など、公共性・国家運営について論じる著書が多いです。
いっぽう、『老年について』『友情について』など、「個人の徳」について述べる本も出しています。
キケロが生きたローマ世界は、国のかたちが[共和政 → 帝政]に移る時期でした。
政治家だけでなく、市民階級も、人生の指針が見えづらい時代でした。
そのなかでキケロは、「自然(natura)」「徳」などキーワードを軸に、人間の幸福・生き方について論じていきました。
ポイント ─ 自然(natura)
キケロ思想のキーワードは、自然(natura)です。
カンケツにまとめると、つぎのようになります。
図解説明
人生の行程は決まっている。
自然の道は1本で、後戻りできない。
そのうえで、人生の各部分には、そのときどきにふさわしい特性が与えられている。
具体的には
・若年期 → 覇気
・壮年期 → 重厚さ
・老年期 → 円熟
これらの性質にあわせて、目のまえの課題に取りくむ。
一連の流れは自然の恵みで、自然(natura)にしたがって起こることは、総じて善きことである。
では、老いによる死は?
これほど、自然なことはない。
老人が死ぬのは、燃え尽きた火が何の力を加えずに、ひとりでに消えていくようなもの。
自然の流れにのっているため、老年&老いによる死は、善きことである。

ひとこと
「老い」をテーマに、キケロの「自然(natura)」を説明しました。
老年にかぎらず、全般にわたって、「自然(natura)」の考えを大切にします。
・自然にあわせた生き方
などなど、自然にそった行動こそが「善」であり、ひいては「幸福」につながると説きます。
名言
つぎにキケロの名言をあげていきます。
自然(natura)のネガティブな側面=快楽
自然が人間に与える病毒で、肉体の快楽以上に致命的なものはない。〔……〕というのは、欲望が支配するところでは、徳の立場がまったくないからである。(p.37)─ 『老年について』33
キケロは「自然」の考えを大事にしました。
とはいえ、手放しで賛成していたわけではありません。
自然にも欠点があります。
それは「肉体の快楽」です。
こればかりは抗いようもなく、徳でもっても抑えが効かない場面が多々あります。
とくにカラダが元気な若者は、注意が必要です。
それにより身を滅ぼす者は、歴史上、数えきれないほどいる。
いっぽう、年をとればカラダも衰え、快楽もなくなる。
その意味でも老年は、恵まれた時期だと肯定します。
「老いによる死」のたとえ
果実でも、未熟だと力ずくで木からもぎ離されるが、よく熟れていれば、みずから落ちるのように、命もまた、青年からは力ずくで奪われ、老人からは成熟の結果として取り去られるのだ。(p.66)─ 『老年について』71
〔……〕わしは、わが家からではなく、旅の宿から立ち去るようにこの世を去る。自然はわれわれに、住みつくためではなく、仮の宿りのために旅籠を下さったのだから。(p.77)─ 『老年について』82
キケロは、ただ単に主張を述べるだけはありません。
さまざま比喩をもちいて、老年の死(=自然)を語ります。
詩&物語にのせることで、はなしに説得力が生まれます。
伝え方のうまさが、キケロの魅力でもあります。
〔……〕人生における老年は芝居における終幕のようなもの。そこでへとへとになることは避けなければならない、とりわけ十分に味わい尽くしたあとでは〔……〕(p.78)─ 『老年について』90
まとめ
まとめると、
りきぞう
・自然(natura)の考えを軸に、国家運営・人生のあり方を説いた
・老いについて「自然はわれわれに、住みつくためではなく、仮の宿りのために旅籠を下さった」などの名言を残している
ぜひ、キケロの哲学を知るうえで、参考にしてみてください。
ではまた〜。


