アリストテレスの生涯 ─ 人生・作品・思想

どうも、りきぞう(@rikizoamaya)です。

大学院では、キャリア論と社会保障を研究していました。

社会人なってからは、予備校講師 → ウェブディレクター → ライターと、いろんな職業にたずさわってきました。

働き方についても、契約社員 → 正社員 → フリーランスと、ひと通り経験してきました。

働くなかで思うのは、自分の市場価値をアップするには「教養」が大切だということ。

・良いアイデアを出せる
・深くものごとを考えられる

こういう人たちは、キホン、教養を身につけています。

教養とは、なにか ─ それは、歴史と古典です。

なかでも、哲学の古典は、王道といえます。

わたしも、計500冊以上は、読んできました。

いきなり作品にふれるのも良いですが、書いた人が、どんな人物だったのか ─ それを把握しておくと、より内容を理解できます。

きょうは、

アリストテレスの生涯

を紹介していきます。

ポイントは、こんなかんじ。

・アリストテレスの人生
・アリストテレスの主著
・アリストテレスの思想

西洋思想は、古代ギリシャからスタートします。

なかでも、アリストテレスは、その中核を担います。

かれの作品・思想を知ることで、西洋思想のベースを理解できます。

① アリストテレスの人生

まずは、アリストテレスの人生をたどってみます。

おもな出来事は、つぎの3つです。

① 学園「アカデメイア」に入学
② アレクサンドロス大王の教師に就任
③ 学園「リュケイオン」を開設

カンタンにみていきます。

① 学園「アカデメイア」に入学

マケドニアの統治下にあった「スタゲイロス」(現:ハルキディキ県)で生まれました。

出典:Wikipedia

17〜18歳のとき、アテネにわたり、プラトンが開いた学園「アカデメイア」に入学します。

20年ちかく通い、教師といっしょに生徒を指導するほど、学業を積んだといわれます。

プラトンが亡くなったことをキッカケに、学園を去ります。

一説では、当時のアテネでは「反マケドニア」の運動がさかんになったのが要因ともされています。

在留外国人であったアリストテレスにとって、居心地がわるく、ときには〝命の危険〟を感じていたのかもしれません。

② アレクサンドロス大王の教師に就任

アテネを去ったあとは、小アジアの「アッソス」 → レスボス島の「ミュティレネ」へと移り住みます。

家庭をいとなむいっぽう、生物学など、学問生活をおくっていました。

42歳のとき、マケドニア王「フィリッポス2世」から教師として招待されます。

指導する相手は、13歳の王子「アレクサンドロス」。のちの「アレキサンドロス大王」でした。

かれの家庭教師をするいっぽう、マケドニア郊外に、小さな学園をつくります。

そこで、弁論術・文学・科学・医学・哲学など、幅広いジャンルの学問をおしえました。

生徒は、貴族階級が中心で、のちに「アレキサンドロス大王」を支える人たちとなります。

「官僚養成機関」の役割をはたしていたのかもしれません。

③ 学園「リュケイオン」を開設

アレキサンドロスが「国王」に即位したあと、アリストテレスは、マケドニアをはなれ、ふたたびアテネに渡ります。

師のプラトンと同じように、アテネ郊外に、学園「リュケイオン」を設立します。

アリストテレス本人も、積極的に講義をおこない、そのとき生徒たちが記したメモ&ノートが、かれの思想を伝えるものになっています。

いっぽうで、弟子たちとは、歩廊(ペリパトス)で議論を交わし、思考を深めていきます。

そこから、「リュケイオン」出身の人たちは、「ペリパトス学派」と呼ばれました。

60歳のころ、アレキサンドロス大王が亡くなり、政治が不安定になります。

アテネでは、ふたたび「反マケドニア」の動きが出てきて、マケドニア人にたいして差別・迫害がおこります。

その流れで、アリストテレスも不当な裁判にかけられ、なくなくアテネを脱出します。

さいごは、エウボイア島の「カルキス」に逃れ、病のため、62歳で亡くなりました。

アリストテレスの主著

本人が書いたものはわずかですが、講義ノート&研究メモが、たくさん残っています。

いまでも、よく読まれている主著は、つぎの3つです。

・『ニコマコス倫理学』
・『政治学』
・『詩学』

カンタンに紹介していきます。

『ニコマコス倫理学』

アリストテレスの講義をベースに、息子の「ニコマコス」が編集したノートです。

テーマは「倫理学」。

・最高善
・幸福
・徳(=アレテー)
・中庸(≒ バランス)

などのキーワードを軸に、「善き生とは何か?」を探求していきます。

「善き生」は、ソクラテス → プラトンの流れをくむ、重要なテーマです。

アリストテレスは、2人の主張・見解をとりいれつつ、自分なりの思想を展開していきます。

講義ノートのため、簡潔な文体で書かれています。

いまの人たちが読んでも通じる内容です。

個人的には、イチバンおすすめです。

『政治学』

文献学的に、ハッキリわかってませんが、こちらも講義ノートのひとつとされています。

『ニコマコス倫理学』では、ひとりひとりの「善」「幸福」「徳」を探求しました。

いっぽう『政治学』では、「世の中のしくみ」「社会制度」における「善」を考えていきます。

・家族
・法制度
・国家体制

など、理想的な「しくみ」「制度」の可能性をさぐっていきます。

政治学はもちろん、経済学や社会学など、いわゆる「社会科学」を学ぶうえでは、避けては通れない古典です。

『詩学』

こちらも、講義ノートをまとめたもの。

テーマは、演劇と文学。

創作のコツが記されて、いまでも、脚本家・小説家・映画監督など、クリエイティブにかかわる人は、目をとおす本です。

「哲学書」というより、創作マニュアルといったかんじなので、うえ2冊を読んだあとに、チェックするのがおすすめ。

そのほか、『形而上学』『自然学』などの、〝おカタめ〟の作品もあります。

しかしこれらは、テーマがムズかしい(たいくつ?)ので、さいしょに読む本としては、おすすめしません。

おそらく、つまらすぎて、挫折します。

具体的なテーマをあつかう、うえの3冊から、読みはじめると良いです。

アリストテレスの思想

アリストテレスの中心となる思想&哲学手法は、つぎのとおり。

・中庸
・三段論法

中庸

『ニコマコス倫理学』のなかでのべる「概念」「考え」です。

最高善を成しとげるうえで、「徳(=アレテー)」こそが、もっとも大切 ─ 。

その「徳」のなかでも、「中庸(=Mesotes, Golden Mean)」こそが、「善」「幸福」を達成するカギだと指摘します。

中庸とは、カンタンいえば、「バランス」のこと。

たとえば、ひとが「困難」に直面したとき、あまりに臆病になってもダメだし、あまりに「向こう見ず」であってもならない。

ふたつの中間に位置する「勇敢」こそが、もっとも適した態度である、と主張します。

倫理学にかぎらず、なにごとにおいても、「中庸=バランス」こそが大事だといいます。

三段論法

アリストテレスの哲学手法としては、「三段論法」が有名です。

著書『オルガノン』で説明した手法です。

三段論法とは、ひとが論理的に推論するときの「型」のひとつ ─ 。

推論するときには、

・大前提
・小前提 or 結論

の命題をあつかう。

そのうえで、結論が「真」であるためには、

・前提もまた「真」であること
・(同一律など)論理法則にそったものであること

が必要である、と指摘&体系化しました。

あたりまえのことをのべていますが、「思考のパターン」を整理した意味で、たいへん重要な成果をもたらしました。

いまの「哲学」「論理学」の土台となっています。

おわりに

アリストテレスの生涯をみてました。

かれの人生・主著・思想を知ることで、大まかですが、西洋思想&西洋哲学が理解できます。

よければ、参考にしてみてください。

ではまた〜。