【経済学】交易・取引による相互利益について

どうも、りきぞう(@rikizoamaya)です。

大学院では、キャリア論と社会保障を研究していました。

社会人なってからは、予備校講師 → ウェブディレクター → ライターと、いろんな職業にたずさわってきました。

働き方についても、契約社員 → 正社員 → フリーランスと、ひと通り経験してきました。

働くなかで思うのは、自分の市場価値をアップするには「教養」が大切だということ。

「できるなぁ」
「いいアイデアを出すなぁ」

と、言われる人は、キホン、教養を身につけています。

これまでたくさんの古典・学術書を読みあさってきました。

あらためて「核となる知識」をマスターしていきたいと考えています。

ここでは「代表的な古典」&「教養ワード」を紹介していきます。

哲学&経済学から、ビジネスや仕事に役立つ知識を共有していきます。

今回とりあげるのは、コレです。

「交易による相互利益」

経済学では、最重要ワードのひとつです。

ド定番の教科書、マンキュー『入門経済学』でも、「10大原理」のひとつにあがっています。

以下、つぎのテキストを参考に、くわしく説明していきます。

引用のページは、こちらの本によります。

交易による相互利益

今年は「米中貿易摩擦」、去年はイギリスの「ブレグジット」が話題になりました。

ふたつとも、貿易による損害・不利益を理由に、相手国との取引を避けることが背景にあります。

しかし、市場では、交易や取引をすれば、すべての参加者に利益がある、というのが鉄則です。

なぜでしょうか。理由は2つです。

  1. ① 専門特化によって、モノの質が上がるから
  2. ② 取引が多いと、モノの種類が増えるから

ひとつひとつ、みていきます。

① 専門特化によって、モノの質が上がるから

取引相手がいることで、自分が得意するモノを、ひとりひとりが作るようになります。

たとえば、あなたが「離れ小島」にいるとします。取引&交換する相手はいません。

となれば、生活に必要なモノを、自分ひとりで作らなくてはなりません。

いっぽう、モノを交換する相手がいれば、どうでしょう?

お金を介するなどして、作ったモノを取引するはずです。

そのさいポイントとなるのが、お互いが「得意なモノ&サービス」を交換することです。

そちらのほうが、双方にとってメリットがあるからです。

たとえば、コメを育てるのが得意な人と、ミソを作るのが得意な人がいたとします。

それぞれがコメとミソに両方を生みだす必要はありません。

交換できるなら、お互いが「得意なモノ」を作っていたほうが効率的です。

たくさん作れますし、作れば作るほど、商品の質もアップするはずです。

お互いに、たくさんのコメとミソを交換でき、質の良い食べものを口にできるわけです。

つまり、交換によって、モノの質が上がるわけです。

これが、交易や取引をすれば、すべての参加者に利益がある理由の1つです。

② 取引が多いと、モノの種類が増えるから

2つ目は、交換・取引の数が多いと、ひとりひとりがゲットできる商品の種類が増えるからです。

1つ目の理由ともつながりますが、マーケットでは、あらかじめ交換・取引できるとなれば、ひとりがすべてモノを作る必要はありません。

となれば、自分が得意なものを、ひとりひとりが作るようになります。

自分の欲しい財・サービスを市場で手に入れられることを知っていれば、人々は安心して自給自足を捨て、特化する気持ちになれる。(018)

P.クルーグマン『ミクロ経済学(第2版)』

当然、マーケットの参加者が増えるごとに、モノ&サービスの種類も増えていきます。

さきほどの例でいえば、コメとミソが作れる人がいるなかで、あなたがふたりと同じようなコメ or ミソを作っても意味はありません。

すでにふたりは、コメとミソをゲットしているからです。

それよりも、コメに合うウメボシだったり、ミソ汁に必要なダシをつくったほうが、よろこばれます。

手にする品数が増えるので、ふたりだけでなく、あなたにとってもメリットがあります。

交易する人たちが増え、取引の回数が多くなれば、おのずとモノの種類も増えていきます。

これが、交易や取引をすれば、すべての参加者に利益がある理由の2つ目です。

以上が、交易・取引によって、人びとが豊かになる理由です。

マンキューはつぎのようにのべています。

交易は、人々が農耕・縫製・建築といった各自の専門分野の専門家になることを可能にする。他の人々と取引することにより、はるかに多様な財・サービスを、より安く買えるようになるのである。(014)

N.G.マンキュー『入門経済学(第3版)』

交易・取引は、専門特化によって品質を向上させ、品数を増やすわけですね。

交易・取引による相互利益の事例

このしくみを利用した事例は、みじかにたくさんあります。

わかりやすいのは「専門家」の存在です。

文系・理系とわず、あらゆるジャンルで、なぜ専門家がいるんでしょうか?

それは、ひとつのものごとに取り組んだほうが、自分にとってメリットがあるためです。

たとえば、医者とエンジニアの場合──。

どちらも、それなりのスキルを身につけるには、時間がかかります。

ひとりの個人が、2つの技能をマスターするには、それぞれ5年、合わせて10年の時間を要するとします。

しかし、(交換できる)2人がいれば、それぞれが1つのスキルを5年かけてマスターすればいいわけです。

医者のほうは、医療スキルを提供するかわりに、ウェブサービスをつくってもらい、エンジニアのほうは、IT スキルを提供するかわりに、手術治療を受けられます。

「専門家」をとおして、取引による相互利益のしくみを理解できます。

交易を前提にした「専門特化」について、クルーグマンは、つぎのようにのべています。

人が通常ただ1つの職業を選択する理由は、特化の利益にある。医者になるためには、長年の勉強と経験が必要だ。民間航空会社のパイロットになるにも、長年の勉強と経験が必要だ。〔……〕両方のキャリアを追求する者がいたとしてみ、はじめからパイロットや医者になると決めていた者ほどすぐれた職業人になれるとは思えない。だからこそ、個人が自分で選んだ職業に特化することが、全員のためになるのだ。(017-018)

P.クルーグマン『ミクロ経済学(第2版)』

おわりに

交易・取引による相互利益について、みてきました。

マンキュー、クルーグマンともに、最重要ルールとしてあげています。

わりとすんなり理解できますが、ビジネスマンをはじめ、なにかしら策を実施する人にとっては、不可欠な考えです。

知っておいて、損はありません。

ここにあげた記事を参考に、あらゆるシーンで活用してみてください。

きょうあげた知識が、あなたの役立つとうれしいです。

ではまた〜。