【厳選】教養が身につく哲学書(古代〜近世)後編

どうも、りきぞう(@rikizoamaya)です。

東大の大学院では、キャリア論と社会保障を研究していました。

社会人なってからは、予備校講師 → ウェブディレクター → ライターと、いろんな職業にたずさわってきました。

働き方についても、契約社員 → 正社員 → フリーランスと、ひと通り経験してきました。

働くなかで思うのは、自分の市場価値をアップするには「教養」が大切だということ。

「アタマいいなぁ」
「発想がすごいなぁ」

と、思える人は、キホン的な教養を身につけています。

わたしも、これまでたくさんの古典&学術書を読みあさってきました。

なかでも、哲学書については、有名どころの作品には目をとおしてきました。

合計100冊くらいは、いってるかと思います。

そこで、ここでは

教養が身につく哲学書10冊

と題して、紹介していきます。

すべての年代はムリなので、ここでは古代〜近世に限って厳選していきます。

さっそくビックアップすると、こんなかんじです。

  1. ① プラトン『ソクラテスの弁明』
  2. ② アリストテレス『ニコマコス倫理学』
  3. ③ キケロ『友情について』
  4. ④ セネカ『人生の短さについて』
  5. ⑤ マルクス・アウレリウス『自省録』
  6. ⑥ アウグスティヌス『告白』
  7. ⑦ トマス・アクィナス『神学大全』
  8. ⑧ モンテーニュ『エセー』
  9. ⑨ パスカル『パンセ』
  10. ⑩ スピノザ『エチカ』

それぞれ年代から、バランスよく選んでみました。

教養を身につけるうえで、どれも必読本です。

難解な本もありますが、解説書などを用いながら読めば、〝あらまし〟は理解できます。

きょうは、記事の分量から、さいしょの5冊を紹介していきます。

教養が身につく哲学書(古代〜近世)前編

くりかえすと、こんなかんじです。

  1. ⑥ アウグスティヌス『告白』
  2. ⑦ トマス・アクィナス『神学大全』
  3. ⑧ モンテーニュ『エセー』
  4. ⑨ パスカル『パンセ』
  5. ⑩ スピノザ『エチカ』

定番ですが、どれも哲学の基礎をつくった本です。

以下、さらっと著者&内容にふれたあと、読むポイントをみていきます。

くわえて、理解に役立つ解説書も添えておきます。

⑥ アウグスティヌス『告白』

著者

著者は、北アフリカ・タガステの神学者・哲学者。354年〜430年に生きた人です。

383年にローマに渡り、387年に洗礼を受け、キリスト教徒になりました。

ストア派に影響を受けつつ、プラトン思想とキリスト教思想の統合にチカラを尽くしました。

「自由意志」について考察をおこない、西洋における「自由」の考えに大きな影響を与えました。

内容

タイトルどおり、青年時代〜キリスト教徒になるまでの過程を、アウグスティヌス本人が告白する内容です。

「窃盗」「奔放な性」など、青年期での罪深い行為を、生々しく記していく ─ 。

その体験をベースに、「死」「時間」「神」にかんして哲学的な話を展開していきます。

ポイント

アウグスティヌスは教父のため、キリスト教を知らないと「読めないかなぁ」と思いがちですが、そんなことはありません。

たしかに「神」のテーマにもふれますが、だれもが経験する「悩み」や「苦悩」が話題の中心です。

なので、宗教書とは考えず、〝片意地はらず〟に読みすすめるのがコツです。

じじつ、この本は西洋における「自由(=自由意志)」の考えに大きな影響をあたえています。

たとえば、日本をふくめて、近代国家制度をとっている社会では、「自由」はあたりまえの権利としてみなされています。

その原型となる考えを確立したのが、アウグスティヌスだといわれているくらいです。

わたしたちの生き方にも影響を及ぼしているので、目をとおして損はありません。

参考図書

語り口もやさしく、内容もムズかしくないので、わりとスラスラ読めます。

ただし、当時のキリスト教のようすなど、時代背景を知らないとキツいかもなので、つぎの本に目をとおしておくいいです。

こちらは当時のローマ社会の状況や、アウグスティヌスの思想概念を、わかりやすくまとめてくれています。

読むまえにも、読んだあとにも、いろいろ参考になるので、おすすめです。

⑦ トマス・アクィナス『神学大全』

著者

著者は、イタリアの神学者・哲学者です。中世ヨーロッパの、1225年頃〜1274年に生きた人です。

青年期に、先進的な修道会「ドミニコ会」に入り、学問の道にすすみました。

その後、当時、イスラム圏から流入してきた「アリストテレス哲学」にふれて、キリスト教思想との融合をはかりました。

内容

主著である『神学大全』は、「神学の教科書」として書かれたといわれています。

そのため「宗教色」は少なく、信仰がなくても、理性でもって読めるとされています。

構成も、第一部は「神」の問題をあつかっていますが、第二部からは「人間」をテーマにあつかい、「希望」「勇気」「節制」など、身近な概念について考察をおこなっています。

ポイント

ただし……。

分量がめちゃくちゃ多く、翻訳で全45巻もあります……。

うえにあげた本は、拙訳で、第一部だけしか載ってません。

研究者でもないかぎり、すべてを読むのは不可能です。

というわけで、読むコツとしては、目次をザッとみたあとで、気になるテーマを〝つまみ読み〟することです。

のべたとおり、第二部では、より身近なテーマをあつかっているので、その項目から読むのをおすすめします。

参考図書

並行して、つぎにあげる解説書に目をとおしておくと、より理解できます。

というより、ショージキ、トマス・アクィナス本人の書物よりも、こちらのほうが、かれの思想が、よく伝わってきます。

本書は、中世思想というマイナーなジャンルながら『サントリー学芸賞』まで受賞しました。

それくらい〝熱く〟、魅力的な本です。翻訳書は読まずとも、こちらだけでもチェックしてほしいです。

⑧ モンテーニュ『エセー』

著者

著者は、フランスの作家、哲学者です。16世紀ルネサンス期の、1533年〜1592年に生きた人です。

当時は、古代ギリシャ&ローマの古典を見直す「人文主義運動」が盛んで、いまではその代表者とされています。

貴族と子どもとして生まれ、父の死により、1568年にモンテーニュ城を相続しました。

かれの唯一の著書である『エセー』は、これ以降、書かれるようになります。

また、父親が「ボルドー市長」だったこともあり、1581年に就任しています。

政治家さんでもあるんですね。

内容

『エセー』は、法官を退いたあと、1572年から執筆がスタートして、1580年に出版されました。

いまの「エッセイ」の語源になっているとおり、アリストテレスのように、体系的な哲学書ではありません。

自分が読んだ古典へのコメントや、自身のエピソードにたいする意見を記したものです。

いまのブログにちかいものがあります。

ポイント

というわけで、語り口もやさしく、とても読みやすい内容になっています。

テーマも、「習慣」「友情」「怒り」など、すごく身近なトピックをあつかっているので、納得しながら読めます。

個人的には、この記事であげた10冊のなかで、イチバン好きな哲学書です。

哲学書というより、賢い知人が、そばで語ってくれているかんじなので、気楽に目を通すことができます。

また、翻訳者の宮下志朗さんの文章が、めちゃくちゃすばらしいです。

翻訳とは思わせないくらいの「なめらかさ」で、「ひらがな」「カタカナ」「漢字」のバランスはピカイチです。

日本語の文章としても、お手本にしたいくらいです。

参考図書

そのまま読んでも、十分、理解できます。

しいであげると、訳者の宮下さんが、解説書を出しているので、モンテーニュの思想や、当時の社会状況を知りたい方は、チェックしておくと、いいかもです。

ちなみに、当時は、ルネサンス期で、ヨーロッパは宗教戦争のまっただ中でした。

そのあたりの情勢を知っておくと、モンテーニュの考えを、納得感をもって、理解できると思います。

⑨ パスカル『パンセ』

著者

著者は、フランスの哲学者、数学者です。「パスカルの定理」で有名ですね。

1623年〜1662年に生きた人で、わずか30代で亡くなっています。いわゆる「早熟の天才」です。

大学には行かず、教育はすべて「英才教育」でなされました。

自宅が、学術サロンの状態で、一流の数学者や科学者が集まっていたそうです。スゴいですね(笑)

内容

『パンセ』は、若くして亡くなったパスカルの、メモ or ノート類をまとめて、死後に出版されました。

そのため体系化されているわけではありませんが、トピックごとへの考察がするどく、のちの人たちに影響をあたえました。

あつかうテーマも、宗教から科学、欲望から人生論まで、さまざまです。

ポイント

キホン、「メモ書きの集積」みたいかんじなので、気になるトコから読んでいきましょう。

キリスト教など「宗教色」がつよい箇所もありますが、短い文章で、簡潔にまとめられているので、わりとスムーズに読めます。

参考図書

語り口もやさしく、文章もカンタンなので、参考図書ナシでもオーケーです。

もし、思想的な背景を知りたいなら、つぎの本がおすすめです。

⑩ スピノザ『エチカ』

著者

著者は、ネーデルランド(オランダ)の哲学者です。近代の入り口、1632年〜1677年に生きた人です。

オランダで盛んだった貿易商の子どもとして生まれました。家業のサポートのため、大学には通えませんでした。

青年期、伝統的なユダヤ教の教えに反したことから、「ユダヤ人共同体」から破門されることになります。

それでも、自らの思索をあらわした『神学・政治論』(1670年)を発表しましたが、これも禁書となり、出版を差し止められました。

その後も、功績が認められ、教授のポストを招待されるが「自由が脅かされる」と断りました。

さいごは、病気で亡くなりましたが、遺骨は棄てられ、墓も建てられないほどでした。

内容

『エチカ』は、生前、出版の計画がありました。しかし、過激な内容から、スピノザ本人が見送りました。

あつかうテーマは、哲学書らしく、神・精神・感情・人間・知性などで、5部構成になっています。

ただし、その記述方法が独特で、すべてのトピックにたいして、「定義 → 公理 → 定理 → 証明」の順で書かれています。

これは当時さかんだった、「幾何学」に沿った書き方で、フツーは、数学の証明で用いる形式を、日常的な概念にもあてはめるカタチになっています。

ポイント

「定義 → 公理 → 定理 → 証明」のカタチで書かれているため、手を出しにくいかんじになっています。

とくに、1部と2部は、神や論理の話題で「抽象度」がめちゃくちゃ高い。

ハッキリ言って、読めたものはありません。

なので、つぎの「参考図書」であげる國分さんが言うように、第4部「人間の屈従あるいは感情の力について」から目と通すのがおすすめです。

より具体的なテーマなので、納得しながら、読んでいけます。

参考図書

そんなわけで、参考図書としては、つぎがおすすめです。

歴史的な背景だけではなく、ほかの哲学者との比較から、スピノザの思想をわかりやすく解説してくれています。

國分さんの本のなかでも、1、2をあらそうほど、すばらしいデキです。

おわりに

「教養が身につく哲学書10冊」のうち、のこりの5冊を紹介してきました。

最低限の教養を身につけるには、目をとおして損はありません。

ここにあげた記事を参考に、あらゆるシーンで活用してみてください。

きょうあげた知識が、あなたの役立つとうれしいです。

つぎの記事では、のこりの5冊を紹介していきたいと思います。

ではまた〜。