どうも、りきぞう(@rikizoamaya)です。
大学院では、キャリア論と社会保障を研究していました。
社会人なってからは、予備校講師 → ウェブディレクター → ライターと、いろんな職業にたずさわってきました。
働き方についても、契約社員 → 正社員 → フリーランスと、ひと通り経験してきました。
働くなかで思うのは、自分の市場価値をアップするには「教養」が大切だということ。
「いいアイデアを出すなぁ」
と、言われる人は、キホン、教養を身につけています。
これまでたくさんの古典・学術書を読みあさってきました。
あらためて「核となる知識」をマスターしていきたいと考えています。
ここでは「代表的な古典」&「教養ワード」を紹介していきます。
哲学&経済学から、ビジネスや仕事に役立つ知識を共有していきます。
今回とりあげるのは、コレです。
経済学では、基本的な考え方です。
ド定番の教科書、マンキュー『入門経済学』でも、「10大原理」のひとつにあがっています。
以下、つぎのテキストを参考に、くわしく説明していきます。
引用のページは、こちらの本によります。
目次
市場における効率的な資源配分

なにげなく「市場」という言葉をつかっていますが、正確にはなしをすすめるには、ちゃんと定義したほうがいいでしょう。
ここでいう「市場」とは、「市場経済(market economy)」を指します。
「市場経済」とは何か。
それは、意思決定をもつ家計や企業が、モノ&サービスを取引することで、効率的に資源が配分される経済、のことです。
カンタンにいえば、それぞれが自らの意志で、売り買いしていれば、しぜんと効率的に資源は分配されますよ、ということ。
マンキューの定義では、つぎのようになります。
市場において、財・サービスをやりとりする多くの企業や家計による、分権的な意思決定をつうじて、資源が配分される経済(015)
また「効率的な資源配分」とは、資材・人材・機会をふくむ資源は、人びとを豊かにするように、ひとつ残らず活用される、ということです。
「配分」というと「配る」イメージがありますが、そうではありません。
なにかを生みだすために、資源が人びとに行きわたることを意味します。
たとえば、人通りの多い土地が「空き地」になっていれば、モノやサービスを生みだすように、店舗や駐車場として活用される、ということです。
クルーグマンは、市場における効率的な資源配分について、つぎのようにのべています。
経済が効率的であるときには、与えられた利用可能な資源のもとで、最大限の取引の利益が引き出されているといえる。(020)
市場経済のポイントは、それぞれの参加者が、バラバラに意思決定しているにもかかわらず、うまく効率的に資源が行きわたる点です。
これが、つぎの問いにつながります。
なぜ、市場では効率的に資源が配分されるのか

その理由は、
が、働いているからです。
市場の参加者は、モノ&サービスを売ったり買ったりするときに、そのときの価格をみて判断します。
つまり、全員の買い手が、価格をみて、モノを需要するかを決め、全員の売り手が、価格をみて、モノを供給するかを決めます。
価格メカニズムが働くことで、それぞれがバラバラに意思決定をするにしても、しぜんと市場はバランスをとるのです。
ちなみに、価格メカニズムのしくみを正確に説明したのが、「経済学の父」であるアダム・スミスです。
かれは価格メカニズムを「見えざる手」と表現しました。
マンキューは、つぎのように評価します。
スミスの偉大な洞察は、価格が調整されることで、多くの場合、個々の意思決定主体を、社会全体の厚生(welfare)を最大化するような結果へと導くという点にあった。(015)
また、クルーグマンは、市場の均衡(バランス)について、つぎのようにのべます。
〔……〕市場は、通常、価格の変化をつうじて均衡に近づいていく。人々が生活をさらに改善する余地がなくなるまで、各が上がったり下がったりするのだ。(018-019)
「タクシー」と『ウーバー』のちがい

「市場における効率的な資源配分」の事例としては、タクシーと『ウーバー』のちがいがわかりやすいです。
日本をふくめ、タクシー業界の規制はとても厳しい。
新規参入のカベも高く、業界全体で値段設定がしっかり決められている。
いっぽう、『ウーバー(Uber)』は、ユーザーの利用数に応じて、価格を決めている。
たとえば、なにかのイベントで、駅から会場までの乗車する人が多いとわかれば、料金はいつもよりアップする。
2つのちがいは「価格メカニズム」が働いているかどうか ─ 。
タクシー業界のほうは、価格を(ある程度)固定し、市場を成立させている。
『ウーバー(Uber)』のほうは、需要と供給に合わせて、資源を効率的に配分し、市場を成りたたせている。
〔……〕ウーバーの運転手がインセンティブに反応するので、もっとも需要が高いときに自動車サービスの供給を増やすことになる。〔……〕自動車サービスを、その価値を最も高く評価する人びとに配分することを容易にし、自動車を探したり待ったりするコストを低下させる。(019)
経済学の視点でいえば、当然、『ウーバー(Uber)』のほうが正しい。
タクシー業界のほうは、クルマの供給数を一定にすることで、価格を固定化しているからです。
すると、たとえば、利用者が多くなれば、乗れない人たちがあふれます。
さらに問題になるのは、利用者が多いなかで、クルマの数を一定にして、料金を上げることです。
こうなると、市場に資源が行きわたっていないことになります。つまり、一部のタクシー業界がトクするだけで、市場に参加する人たち全員は、豊かになりません。
『ウーバー』のほうでは、需要と供給に合わせて、クルマの数 / 利用料金が変動します。
「価格メカニズム」が働いてるために、市場全体が豊かになるのです。
ちなみに、2つとも、「ひとをある場所へ送る」という意味では、同じサービスです。
タクシー業界が反発するのは目にみえています。
〔……〕経済学者たちは、ウーバーを好む。2014年に実施されたアンケートは、十数人の有名な経済学者に、ウーバーなどの自動車サービスが消費者の厚生(welfare)を高めているかをたずねた。全員がイエスと回答した。(019)
アダム・スミスが今日生きていれば’、自分のスマートフォンにウーバーのアプリを搭載していたことは確実だろう。(020)
おわりに
「市場における効率的な資源配分」について、みてきました。
マンキュー、クルーグマンともに、最重要ルールとしてあげています。
わりとすんなり理解できますが、ビジネスマンをはじめ、なにかしら策を実施する人にとっては、不可欠な考えです。
知っておいて、損はありません。
ここにあげた記事を参考に、あらゆるシーンで活用してみてください。
きょうあげた知識が、あなたの役立つとうれしいです。
ではまた〜。
 
                



