アメリカ南北戦争と再建時代 ─ 原因・奴隷解放宣言・ゲティスバーグの戦い・シェアクロッパー【わかりやすく解説】

どうも、りきぞうです。

大学のころから、世界史に親しんできました。

大学院時代は、本格的に人文書・歴史書にあたってきました。

・アメリカ南北戦争と再建時代について知りたい
・大事なキーワード&人物は?
・この時代のポイントは?

きょうは、この問いに答えていきます。

答えは、つぎのとおり。

キーワード
・ホームステッド法
・奴隷解放宣言
・ゲティスバーグの戦い
・シェアクロッパー
重要人物
・リンカーン
・ジェファソン=デヴィス
ポイント
・南北戦争後には大陸横断鉄道が開通し、北部主導でアメリカでは工業化がより発展していった

この記事では、つぎの本を参考にしました。

西部開拓がひと段落したあと、アメリカ国内では南北対立が激しくなり、ついには南北戦争へと発展します。

以下、[背景 → 展開 → 影響]の流れで、その経緯をみていきましょう。

アメリカ南北戦争と再建時代① ─ 背景

奴隷州(深緑色)/自由州(赤色)をあらわす新聞記事

南北の対立とは、具体的には、

イギリス経済に対抗する北部地域
vs
イギリス市場と結びつきの強い南部地域

の争いです。

さらに詳しくみると、つぎのような違いがありました。

北部地域:
・中心産業 → 商工業
・奴隷制 → 反対
・貿易政策 → 保護関税
・政治体制 → 連邦主義
・支持政党 → 共和党

南部地域:
・中心産業 → 農業(綿花)
・奴隷制 → 賛成
・貿易政策 → 自由貿易
・政治体制 → 州権主義
・支持政党 → 民主党

なかでも問題になったのは、

・奴隷制(賛成/反対)
・貿易政策(保護関税/自由貿易)

の2つです。

奴隷制問題は、女性作家ストゥ『アンクルトムの小屋』が出版され、アメリカ全土で奴隷制反対の機運が高まりました。

そのような中で、アメリカに新たな連邦州が誕生するさいに、その地域で奴隷制を認めるかが問題となりました。

当然、奴隷制に反対する北部出身の議員はノーをつきつけ、賛成する南部出身の議員は首を縦に振りました。

そこで「北は自由州/南は奴隷州」とするミズーリ協定が結ばれ、北部と南部は妥協をはかります。

しかしカンザス・ネズラスカ法が制定されると、「奴隷制の選択は、連邦州の住民意思で決まる」とするミズーリー協定の内容が否定されます。

これにより南北の対立がふたたび高まります。

さらにホイッグ党から奴隷制反対を唱えるグループが独立し、共和党が結成されると、南北の対立は決定的となり、南北戦争への発展していきます。

アメリカ南北戦争と再建時代② ─ 展開

リンカーンのゲティスバーグ演説

共和党のリンカーンが大統領に当選すると、それに対抗するかたちで南部11州はアメリカ連合国の独立を宣言します。

大統領はジェファソン=デヴィスで、首都はリッチモンドにおきました。

これが南北戦争の始まりです。

リー将軍の活躍もあって、戦争のはじめは南部が優勢でした。

しかしリンカーンがホームステッド法を制定して、西部農民の支持を獲得します。また奴隷解放宣言を発表し、内外世論の支持を集めます。

さらに外交面ではイギリスの南部承認を阻止し、北部情勢を優位に運びます。

ゲティスバーグの戦いの演説では、かの有名な「人民の人民による人民のための政治」を主張し、事実上の勝利宣言を述べます。

その後グラント将軍の活躍で、北部軍は南部の首都がおかれたリッチモンドをおとし、これにより南北戦争は終結します。

アメリカ南北戦争と再建時代③ ─ 影響

シェアクロッパー

いっぱんに、南北戦争後のアメリカは、再建と発展の時代といわれます。

プランテーションの解体

争いの焦点となっていた、南部の奴隷制プランテーションは解体されます。

それにより職を失った農業経営者や白人農民は、民主党に結集し、共和党とは違った政策を打ちだしていきます。

黒人問題

黒人問題に関しては、まず奴隷制が廃止されます。

それにより解放された黒人奴隷は「シェアクロッパー」とよばれる小作人としてあつわれます。

しかしかれらの職業環境は厳しく収穫の半分を地主に収めなくてはなりませんでした。

そのため、まともな生活を営めなくなり、黒人のほとんどが貧困化していきます。

いっぽう南部の各連邦州では州法が改定され、黒人の公民権や参政権がいちじるしく制限されました。

これがきっかけで、社会上の人種差別が育まれ、以後アメリカ社会で問題となっていきます。

「KKK」とよばれる過激白人グループもつくられ、黒人への暴行や迫害が横行します。

フロンティアの消滅

いっぽうアメリカ経済については、西部開拓がよりいっそうすすみます。その結果、自作農を営む人が増え、小麦の生産高が世界一となります。

しかしそこで政府から出されたのがフロンティア消滅宣言でした。

工業化も進み、石炭・石油、鉄鋼業が発展します。また豊富な資源の恩恵を受けて大陸横断鉄道が開通し、さらなる工業化を促して行きます。

またマーケットの成熟にともない独占企業が誕生し、資本家と労働者の経済格差が進んで行きます。

不満をもつ労働者たちは、資本家に対抗するため労働組合をつくり、1886年には正式にアメリカ労働総同盟が結成されます。

移民差別問題

またこの頃に取り上げられるようになったのが、移民問題でした。

1880年ころまでは西欧や北欧からの移民(旧移民)が増え、もともと住んでいた人から軽蔑の対象とされました。

1880年以降は、東欧&南欧のカトリック系移民(新移民)や、アジア系の移民が増え、かれらもまたたいへんな差別をうけました。

移民への差別は、アメリカ社会にとっては宿痾のようなもので、いまでもヒスパニック系をはじめ、白人の人たちから不当なあつかいをうけています。

おわりに

アメリカ合衆国の発展をみてきました。

まとめると、こんなかんじです。

キーワード
・アメリカ=イギリス戦争
・アメリカ=メキシコ戦争
・西漸運動
・ネイティブ=アメリカン(先住民)
重要人物
・ジェファソン
・モンロー
・ジャクソン
ポイント
・西漸運動により「自主独立」をはじめたするアメリカの価値観が普及していった

この記事が、アメリカ合衆国の発展を理解するさいのヒントになれば、うれしいです。

では、また。