統合化は「市場の成熟」、差異化は「市場の成長」をあらわす

どうも、りきぞうです。

きょうは、『湖池屋』新商品発表のニュースから、「成長する市場/鈍化する市場」について、考えてみました。

※ 本文の引用は、最下部の文献によります。




『湖池屋』が「本格料理系お菓子」というコンセプトのもと、新商品を出す。

パッケージ名を「ポテトと料理」として、「デミグラスハンバーグ」「タルタルフィッシュ」2種類の味を提供する。

背景には、「1日3食」という慣習がくずれ、食の「分食化」「乱食化」があるらしい。

それにあわせるかたちで、間食/主食のワクを取りはらい、料理とお菓子を合わせたかたちの商品を出し、市場を開拓しようとしている。

同じような事例は、けっこう考えられる。

「衣食住」つながりで、思い浮かべてみると、

・部屋着/外出着(衣服)
・ホテル/家(住居)

の〝ミックス〟が、想定できる。

まず衣服については、「おうちで過ごそう」をキッカケに、部屋着/外出着の区別が、それほど意味をなさなくなってきた。

室内の仕事が増えたことで、部屋で過ごすときの服/オフィスで働くときの服を、わざわざ使い分ける人が減ってくる。

(もちろん、パジャマなど「寝る服」について、こだわる人はたくさんいるけど)

なので、アパレル業界としては、部屋着/外出着をミックスさせたような服を、狙ってくるのでは? と予測される。

また、住居についても、「テレワーク」の普及で、どこでも仕事ができるようになると、わざわざはひとつの場所(=マイホーム)から、オフィスに通う必要もなくなる。

そのために、ホテルや旅館など「一時的な宿泊施設」を、〝家がわり〟につかう人も増えてくる。( → いわゆる「ホテル暮らし」)

反対に、空いた家を「宿泊施設」として、貸し出す大家さんも増えていく( → たとえば「エアビー」などのサービス)

こんなふうに、食にかぎらず、衣服・住居など、さまざま分野で、じっくり・ゆっくり統合がすすんでいく。

ふたつの国を近づけるのに費やされた10年にわたる努力が〔……〕ただひとつの形容詞に凝縮されて言いあらわされ、見かけはなんの変哲もないその形容詞に、いっさいが込められているのを、当事者は知り抜いている。(p.32)

─ プルースト『失われた時を求めて』第2編 第1部




以上からわかるのは、需要がほとほどに満ちているトコ(業界)では、モノ&サービスは、統合化・融合化の動きをみせる、ということ。

今回の「コロナショック」をはじめ、自然災害・戦争・技術革新など、市場をとりまく環境が変われば、マーケット内のモノ・サービスは、なにかとなにかを合わせような流れをみせる。

きびしい言い方をすれば、「パイの奪い合い」がおきる。

じっさい、とりあげた記事の最後にもあるとおり、『湖池屋』は「中食・惣菜」への進出をねらっている。

いっぽう、需要が満ち足りていないトコ(業界)では、モノ&サービスの差異化・差別化がおきる

わかりやすい例だと、さいきん盛り上がりをみせる「音声配信サービス」。

巣ごもり需要増もあってか、さまざまなプラットフォームが、キノコのように、ニョキニョキ生えてきている。

日本で利用できるサービスだけでも、

・Apple Podcasts
・Google Podcasts
・Voicy
・Spoonラジオ
・stand.fm
・ラジオトーク

などなど、近年、たくさんのプラットフォームが生まれている。

(アメリカ・中国・ヨーロッパでは、もっとありそう)

また去年あたりでは、日本の「QR決済サービス」が、これにあたる。

ショージキ、利用者からすればどれをつかえば良いのかわからないくらい、いっぱい生えてきた。

それだけ供給者からすれば、まだまだ需要があり、利益を獲得できると期待している。




したがって、『湖池屋』の事例のように、その市場でのモノ&サービスの統合化・融合化が進んでいるなら、

・需要が満ち足りている
・マーケットが飽和している
・商品の提供者からしたら成長は見込めない

と判断できる。

反対に、音声配信サービス or QR決済サービスのように、モノ&サービスの差異化・差別化が進んでいるなら、

・需要が満ち足りていない
・マーケットが未成熟
・提供者にとっては成長を見込める

と、ある程度、予想できる。

このあたりの「差異化」のマーケットの関係については、岩井克人さんが、あざやかに述べているので、ぜひ参考にしてみてくだい。

音声配信でも聴けます(笑)

では、お元気で。