冷戦の始まり ─ 起源・理由・影響・ヨーロッパ・ドイツ・ソ連・日本・東南アジア【わかりやすく解説】

どうも、りきぞうです。

大学のころから、世界史に親しんできました。

大学院時代は、本格的に人文書・歴史書にあたってきました。

・冷戦の始まりについて知りたい
・大事なキーワードは?
・この時代のポイントは?

きょうは、この問いに答えていきます。

答えは、つぎのとおり。

キーワード
・鉄のカーテン
・トルーマン=ドクトリン
・マーシャル=プラン
・コミンフォルム
・西ヨーロッパ連合条約
・北大西洋条約機構(NATO)
・ベルリン封鎖
・ドイツ連邦共和国/ドイツ民主共和国
・パリ協定
・日米安全保障条約
・太平洋安全保障条約
・東南アジア条約機構
・中東条約機構
・コメコン
・中ソ友好同盟相互援助条約
ポイント
・トルーマン=ドクトリンをきっかけにおきた冷戦は、朝鮮戦争の勃発により対立の構図が鮮明となった

この記事では、つぎの本を参考にしました。

以下、[背景 → 展開 → 進展]に沿って、冷戦の始まりをみていきます。

冷戦の始まり① ─ 背景

演説するチャーチル(右はトルーマン大統領)

第二次大戦後、東ヨーロッパでは人民民主主義政権がつぎつぎ誕生し、西ヨーロッパでも共産党が勢力をのばします。

これに危機感をいだいたイギリス元首相のチャーチルは、アメリカのフルトンで演説し「鉄のカーテン」にたとえて、ソ連をはじめたとした共産主義の脅威を訴えます。

この演説がきっかけとなって、

民主主義陣営
vs
社会主義陣営

の構図がうきぼりになります。

マーシャル=プラン vs コミンフォルム

その後アメリカは、チャーチルの警告に沿うように、ソ連にたいして封じ込め政策をはじめます。

おもな政策は、つぎのふたつです。

・トルーマン=ドクトリン
・マーシャル=プラン

トルーマン=ドクトリンでは、イギリスにかわって、ソ連の影響下にあったギリシャ&トルコに経済援助をおこないます。

またマーシャル=プランでは、西ヨーロッパ諸国にたいして積極的な経済支援をおこないます。

しかしこのアメリカの救済にたいして、ソ連をはじめ東ヨーロッパ諸国は、その提案を拒否します。

かわりにソ連主導のもと、マーシャル=プランに対抗するかたちでコミンフォルムを結成します。

コミンフォルムもまた経済支援を目的とした組織で、ソ連を筆頭に、

・ポーランド
・ブルガリア
・ルーマニア
・ハンガリー
・チェコスロバキア
・ユーゴスラビア

などの東欧諸国が参加していました。

ただし独自路線をはしるユーゴスラビアは、同じ社会主義国であるものの、途中から脱退しています。

冷戦の始まり② ─ 展開

ベルリンに物資を空輸する輸送機

冷戦体制は世界各国に影響をあたえます。ここではヨーロッパ&アジアの動きをみていきましょう。

ヨーロッパの動き

ヨーロッパではまず、チェコスロバキアで共産党によるクーデタがおこります。

ソ連から支援をうけた共産党議員が、現政権を転覆させ、事実上の一党独裁をおこないます。

これに危機感をいだいたイギリス&フランス&ベネルクスは西ヨーロッパ連合条約をむすび、対抗のかまえをみせます。

いっぽうアメリカは西ヨーロッパ諸国と連携し、高い軍事力をもつ北大西洋条約機構(NATO)を結成します。

チェコのクーデタと同じ時期、ドイツ(ドイツ西側管理地区)では通貨改革がおこなわれます。

これはソ連が発行する通貨をドイツから排除するねらいがあり、アメリカ&イギリス&フランスのもと実施されました。

これに憤慨したソ連は、共同で管理していた都市ベルリンの一部を封鎖し、3カ国を域内から排除します(ベルリン封鎖)。

地図でみればわかるとおり、封鎖地域は〝陸の孤島〟であり、当然ながら域内の人びとは食糧難&物資不足におちいります。

出典:『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』

そこで西側陣営は、いわゆる「大空輸作戦」を実行し、飛行機をつかって空から物資や食料を送り届けます。

その後、効果がないと分かったソ連は封鎖を解くものの、以後ドイツは東西に分断され、

・ドイツ連邦共和国(西ドイツ)
・ドイツ民主共和国(東ドイツ)

が形成されます。

西ドイツはアデナウアー首相のもとで経済復興をはたしパリ協定により主権回復しています。そのさい NATO 加盟を条件に、軍備の保有も認められました。

なお、旧ドイツ帝国から切り離されたオーストリアは国家条約でもって独立し、以後は永世中立国として存続することになります。

アジアの動き

いっぽうアジア地域では、インドシナ戦争が勃発します。

これは社会主義をめざすベトナム民主共和国がおこしたもので、戦争勝利後、政権は独立を宣言します(ただし、その後の統治は安定せず、植民地領主であるフランスをまきこむ対仏戦争に発展します)。

また中国では国民政府を倒した共産党が中華人民共和国を成立させます。

さらに朝鮮半島では、北部/南部にそれぞれ、

・大韓民国
・朝鮮民主主義人民共和国

が成立し、のちに朝鮮戦争へと発展していきます。

冷戦の始まり③ ─ 進展

西ドイツの加盟が決まった NATO の会議(1955年)

東西対立が激しくなるなかで、アメリカは世界の各地域で経済や軍事同盟をつぎつぎとむすんでいきます。

おもなところだと、つぎのとおりです。

・北大西洋条約機構(NATO)
・日米安全保障条約
・太平洋安全保障条約(ANZUS)
・東南アジア条約機構
・中東条約機構

これにたいしてソ連も社会主義国を中心に、機関の創設や同盟関係むすんでいきます。

おもなところだと、つぎのとおりです。

・経済相互援助会議(コメコン)
・中ソ友好同盟相互援助条約
・ワルシャワ条約機構

さきにみたとおりコメコンはマーシャル=プランに対抗して設立した組織です。東ヨーロッパ諸国とのあいだで国際分業体制をきずき、各国の結束を強化するためにつくられました。

またワルシャワ条約機構は、ソ連が主導する集団安全保障機関であり、こちらは西側陣営の NATO に対抗するために設立されました。

くわえてアメリカとソ連は、各陣営の威信をみせるために、1950年代を中心に原爆や水爆実験をおこないます。

しかし、地球を滅ぼすほどの破壊力に危機感をいだいたアメリカとソ連の両国は、かつてのような直接対決を望まなくなります。

その結果、武力衝突を避けるかわり、民主主義陣営/社会主義陣の中での結束をはかり、これがさらに冷戦(冷たい戦争)に拍車をかけていくことになります。

おわりに

冷戦の始まりをみてきました。

まとめると、こんなかんじです。

キーワード
・鉄のカーテン
・トルーマン=ドクトリン
・マーシャル=プラン
・コミンフォルム
・西ヨーロッパ連合条約
・北大西洋条約機構(NATO)
・ベルリン封鎖
・ドイツ連邦共和国/ドイツ民主共和国
・パリ協定
・日米安全保障条約
・太平洋安全保障条約
・東南アジア条約機構
・中東条約機構
・コメコン
・中ソ友好同盟相互援助条約
ポイント
・トルーマン=ドクトリンをきっかけにおきた冷戦は、朝鮮戦争の勃発により対立の構図が鮮明となった

この記事が、冷戦の始まりを理解するさいのヒントになれば、うれしいです。

では、また。